内容説明
ダーウィン、グールドをも悩ませた爆発的進化の原因とは?5億4300万年前、生命最初の「眼」がすべてを変えた。生物はなぜ、突然、爆発的に進化したのか?そのカギをにぎる「光スイッチ」とは―。生命史最大の謎に迫る、驚きの新仮説。
目次
第1章 進化のビッグバン
第2章 化石に生命を吹き込む
第3章 光明
第4章 夜のとばりにつつまれて
第5章 光、時間、進化
第6章 カンブリア紀に色彩はあったか
第7章 眼の謎を読み解く
第8章 殺戮本能と眼
第9章 生命史の大疑問への解答
第10章 では、なぜ眼は生まれたのか
著者等紹介
パーカー,アンドリュー[パーカー,アンドリュー][Parker,Andrew]
1967年英国生まれ。オーストラリア博物館研究員を経て、1999年から英国ロイヤルソサエティ大学特別研究員としてオクスフォード大学動物学科の研究リーダーに就任。2005年からは英国自然史博物館動物学研究部研究リーダー
渡辺政隆[ワタナベマサタカ]
1955年生まれ。サイエンスライター、文部科学省科学技術政策研究所上席研究官
今西康子[イマニシヤスコ]
1958年、神奈川県生まれ。NTTの健康管理所に勤務ののち、現在は翻訳業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mae.dat
181
凄く良かった。カンブリア爆発も光スイッチ説も知っていた積もりだけど、第1章で「その認識は誤りぞよ」と、ガツンとやられました。1章だけでも読んで欲しいし、やっぱりもっと早く読まねばならなかった。光スイッチ説の詳細説明に一足飛びに行かず、丁寧に周辺知識を積み上げるのも、丁寧で好感です。10章は未解決の課題について言及されている。全球凍結が終わって、その後カンブリア紀が来るんだけど、そこには2300万年以上の隔たりがあり、光スイッチ説を適用するには開き過ぎるんだって。なる。でも無関係では無さそうに思えるけどね。2022/02/10
まーくん
96
5億4300万年前、地球上の動物はその多様性を一気に増大させた。いわゆる”カンブリア爆発”である。緩慢な進化ではなく、地質学的スケールではほんの一瞬の出来事。その引き金は節足動物の三葉虫が眼を持ったこと。捕食者として圧倒的に有利な立場に。被捕食者も身に殻をまとったり、対策に追われる。食うか食われるかの試行錯誤の結果、多様な生命体が生まれた。他の感覚とは異なり視覚の獲得、光感知細胞が膨らみ”レンズ”を持つまでは非常に”短い”時間で成し遂げられたことに驚く。光の性質の読み解きから、じっくりと進化の謎に迫る。2019/09/06
chiru
43
「眼」が、誕生するに至ったのはわかる。どんな器官も、なにかの偶然で、あるいはウィルスのいたずらで、多種多様な事象の積み重ねが進化の一端を担うから。だけど、他の研究者がいうように、あっというまに「伝染」するかのように「流行」にのるかのように広まった経路は、まだ解明されていない。眼と子宮の誕生のシステマチックな部分がいつか解明されたら本当にすごいと思う。★52017/11/20
HMax
36
543百万年前カンブリア爆発が起きた原因、それは眼の誕生によるもの。僅か50万年で眼が完成し、それに引き続く500万年で動物の外観が一気に変化。体内の体制よりも外部形態は変化しやすいといっても、びっくりするほどの変化。人は見た目が9割!眼の無い時代だったらどうなっていたことか。裏表紙のハリネズミを食べて死んでいるオオトカゲの写真に大笑い。 (カンブリア大爆発とは動物門の数が3から34に増えたことと思っていたが、先カンブリア時代のうねりを経て門の数が34となり、大爆発とはその門の外観が一挙に変化したこと。)2019/09/21
かんやん
36
進化と一口にいっても、内部体制(ボディプラン)と外部形態とはちがう。カンブリア・ビッグバンとは、多様な外部形態が一斉に花開いたことであり、顎、触手、歯、外殻などを備えた種が生まれた。つまり、分類上のいわゆる「門」(脊索動物門など現在は38の門がある)の基礎は先カンブリア時代までにほぼ出そろっていたというスタンス。では何が大爆発を巻き起こしたかというと、邦題が完全なネタバレになっている。しかし、生命の誕生まで遡り、先端の化石研究を知り、光学の基礎を学ぶ、大満足な読書だ。眼の誕生はまた色の誕生でもあった→2019/01/13