出版社内容情報
ヒトラーの秘書としてナチス中枢で働いていた女性が、独裁者の素顔や側近たちとの交流を赤裸々に記した臨場感あふれる手記。
内容説明
1942年から45年まで、ヒトラーのお気に入りの秘書として第三帝国の心臓部で働いていた女性が、ヒトラーの素顔や側近たちとの交流を、若い女性の視線で書き記した臨床感あふれる手記。戦後まもない時期に書かれ、50年の時を経てはじめて公開された貴重な証言である。
目次
第1章 私はヒトラーの秘書になった
第2章 「狼の巣」で
第3章 夜ごとの集い
第4章 暗殺未遂事件
第5章 ベルリンの防空壕で
第6章 たった今、総統が死んだ
著者等紹介
ユンゲ,トラウデル[ユンゲ,トラウデル][Junge,Traudl]
1920年、ミュンヘン生まれ。1942年末から45年までアドルフ・ヒトラーの秘書を務める。戦後、一時ソ連の収容所に送られたのちは、『クイック』誌の編集長付秘書などの仕事を経てフリー・ジャーナリストとなる。2002年2月11日、ガンのため死去
足立ラーベ加代[アダチラーベカヨ]
立教大学ドイツ文学科卒業。ベルリン自由大学演劇学科、美術史学科修士課程修了。マールブルク大学メディア学科博士課程修了。現在フンボルト大学日本学科専任講師
高島市子[タカシマイチコ]
東京教育大学仏文科卒業。ベルリン自由大学独文、図書館学専攻。ベルリン自由大学日本学科非常勤講師。フンボルト大学日本学科常勤講師
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いちろく
31
紹介していただいた本。世界的にも有名なコラ動画の映画の元ネタと知り手に取った一冊。タイトル通りヒトラーの秘書だった女性の回顧録。読了後の正直な感想は、何とも言えない。少なくとも単純な言葉で述べられる本ではない。近すぎて見えないことは、誰しもあると思う。むしろ、時の経過や状況の変化により、見えなかったモノが見えたり気がつくこともあるはずだ。著者自身も該当したことが本書を通して想像させる。歴史の結果として知ってるヒトラーも1人の人間でもあったのは、事実だ。2023/01/04
金吾
28
1942年よりヒトラーの秘書だった女性の回顧録です。間近で見たヒトラーや高官たちの様子が興味深かったです。特にヒトラーが自殺する日の状態は国家の崩壊を如実に表しているように感じました。ゲッペルスの長女が哀れでした。2025/03/03
Willie the Wildcat
26
秘書の視点での独裁者、そしてドイツの変貌。秘書や側近との接し方は紳士的であり、ブラウン嬢への想いも一途。印象深いのが「ナポレオンの身長」。探究心。これが独裁者に上り詰めた源泉の1つ。一方で、病理には勝てない。独裁者に限らず、リーダーの交代の難しさと重要性も実感。”最後の贈り物”かぁ・・・、当時の緊迫感が伝わる。ある種の洗脳、信仰の強さも感じる。戦後、ヒトラーとブラウン嬢のことを質問され続けたことが執筆の理由かな、と推察。精神的な重荷を背負い続けた半生だった気がする。2013/02/03
くさてる
21
20代でヒトラーの秘書となり、彼の最期の瞬間まで生活を共にしていた女性による手記。溢れんばかりの女性らしさと若さが見た当時のドイツとナチの高官たちの姿、そしてもちろんヒトラーの描写が、当時の気持ちや感情のまま、現代の常識で忖度されることなく表現されている。だからこそ、最後のベルリンの地下壕での場面の息詰まる迫力が、生々しく恐ろしい。あの部分だけでも読んだ甲斐がありました。もちろん、著者は戦後、葛藤と抑鬱に苦しむのだけれど。良かったです。2020/09/05
Baron
9
ヒトラーの秘書、トラウドル・ユンゲの自伝。 トラウドルは、当時としてはドイツ人として一般的なナチズムの信奉者だったが、ユダヤ差別主義者ではない。 この本では、「よく知らない間にユダヤ人は社会の片隅に追いやられれ、抹殺されていた」と書いてある。ナチスの手際の良さが窺い知れて驚嘆せずにはいられない。 また、秘書の目から見た一個人としてのヒトラーは、とても紳士的で穏やかで、魅力的な人物だったらしい。他のナチス高官も同様だ。 この本を読んでると、真の狂気とは渦中にいると気付かないものなのだなと感じさせる。2014/03/07