Ｖ．Ｓ．ナイポール・コレクション 中心の発見

ヴィディアダール・スラシプラサド・ナイポ/栂正行

草思社（2003/01発売）

• サイズ B6判／ページ数 222p／高さ 20cm
• 商品コード 9784794211859
• NDC分類 935
• Cコード C0097

出版社内容情報

生い立ちと作家修行を描いた『自伝へのプロローグ』と紀行文『ヤムスクロの鰐』を収録。ナイポール理解のキーとなる作品。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[nobi]

ディーネセンの澄んだ大気に包まれたケニア高地とも、クッツェーの砂塵の舞う南アフリカとも、ナイポールのコートジボアールは違う（ヤムスクロの鰐）。移住外国人と現地人がせめぎ合う人間風景。で、強大な力を持つ大統領はヤムスクロという村を首都にしてしまう、鰐には鶏が儀式の如く与えられる。「ファラオ的でなんだか古代世界の感触がある」のは風景ばかりではない。昼の日常の世界と夜の精霊の世界に跨って生きる彼らは、SNSの世界に生きる我々を凌駕しているのかも。（自伝へのプロローグ）は同著者「ミゲル・ストリート」の成立譚中心。

2022/10/10

[刳森伸一]

トリニダート・トバコ出身のインド系移民でイギリスで作家活動を行うナイポールの自伝的エッセイ『自伝へのプロローグ』とコートジボワールの紀行文『ヤムスクロの鰐』を収録。『自伝へのプロローグ』は作家としての原点を探るかのように自分や一族（特に父親）の生い立ちや生活に掘り下げていくさまは、小説を読んでいるかのような面白さがある。『ヤムスクロの鰐』は、個々のエピソードには面白いものが多いけれど、全体としてみると、コートジボワールやアフリカに対する見解に不満を覚えるところもある。

2015/01/15