出版社内容情報
なぜ人類は五つの大陸で異なる発展をとげたのか。分子生物学から言語学に至るまでの最新の知見を編み上げて人類史の壮大な謎に挑む。ピュリッツァー賞受賞作。
ジャレド・ダイアモンド[ジャレド ダイアモンド]
著・文・その他
倉骨 彰[クラホネ アキラ]
翻訳
内容説明
なぜ人間は五つの大陸で異なる発展をとげたのか?人類史の壮大なミステリーに挑んだ話題の書!ピュリッツァー賞、コスモス国際賞受賞。
目次
プロローグ ニューギニア人ヤリの問いかけるもの
第1部 勝者と敗者をめぐる謎(一万三〇〇〇年前のスタートライン;平和の民と戦う民との分かれ道;スペイン人とインカ帝国の激突)
第2部 食料生産にまつわる謎(食料生産と征服戦争;持てるものと持たざるものの歴史;農耕を始めた人と始めなかった人;毒のないアーモンドのつくり方 ほか)
第3部 銃・病原菌・鉄の謎(家畜がくれた死の贈り物)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
260
中々興味深い命題で人類史が好きな人は読むと面白いかも、しかし難しかった。2016/06/30
カピバラKS
124
●現代世界の富と権力の偏在を地理的な宿命として説明する。●大陸の形状から各民族社会の発展速度を説明するなど、随所に示されるアイデアは天才的で、人類史の大著である。●さて、本書は「現代世界の不均衡を生み出した直接の要因は、西暦一五〇〇年時点における技術や政治構造の各大陸間の格差」と指摘する。しかし、現代世界の混迷は、19世紀以降の欧米列強による帝国主義が直接の要因ではないか。本書の地理的宿命論は、欧米による現代世界情勢悪化の人為的責任回避につながりやすいことが気がかりである。2024/05/15
楽
118
13年。7割引で買った1冊。有史時代の謎を解くために先史時代に遡るのだが食料生産の歴史は退屈すぎる。読み飛ばして捗るようになったのは終盤になってから■なぜインカ帝国の軍がスペインに来てカルロス1世を処刑したのではなく、その逆にピサロがアタワルパを処刑することになったのか■1835年、マオリ族によるモリオリ族の虐殺も衝撃■南北に長い米大陸に比べ東西に広がるユーラシア大陸における食料生産の広がりによる稠密な人口、そして動物の飼育(米、豪大陸の動物は人間に食われたらしい)により動物由来の感染症が増えたところまで2022/08/15
Miyoshi Hirotaka
104
地域間格差の謎を解き明かす。文明と文明が出会い起きたジュノサイド。残忍な征服者との武力差から生じたものはほんの一部で、その何百倍の悲劇が病原菌により起きた。スペイン人が持ち込んだ天然痘によりアステカ帝国(メキシコ)の人口は100年で9割以上が失われた。アステカ人には、スペイン人に何もしない病気は彼らの無敵さを示すものに映った。侵略者が生物兵器だった。これをもたらしたのは農業生産、とりわけ、家畜由来の感染症の抗体を持っていたことが大きい。農業は環境変化を起こしたが、それにより人間自身も変化していた。2013/11/26
佐々陽太朗(K.Tsubota)
90
現代社会の不均衡を生み出したものはなにか。世界の富や権力は、なぜ現在あるようなかたちで分配されてしまったのか。それを解き明かそうとするのが本書の趣旨だ。この種の問題を考えるとき、レイシズムが顔を覗かせることが多い。それはポリティカル・コレクトネスが叫ばれる現代においてなお根強く信奉されているイデオロギーであって、私を極めて不愉快にさせる。しかし本書は私に読む気を起こさせた。その理由は著者の公正で誠実であろうとする姿勢にある。氏はこの謎を西欧文明の側からの視点に偏ることなく解き明かそうとしている。2021/08/20