内容説明
この本は山県有朋が創設した栃木県矢板市にある山県農場の管理者だった千葉県出身の士族・森勝蔵が残した81メートルにおよぶ長大な絵巻物の復刻である。農場草創期の明治25年の1間の詳細な記録で、地理之部、農具之部、耕耘之部、雑務之部の四部構成となっており、農耕、農具、植林、伐採、炭焼、風俗や服装に至るまで、勝蔵が農場で見聞したすべての事物を博物学的関心をもって正確に描いた労作である。
目次
伊佐野農場図稿(地理之部;農具之部;耕耘之部;雑務之部)
『伊佐野農場図稿』を読む―明治20年代の山県農場の博物誌
『伊佐野農場図稿』を世に送る
著者等紹介
森勝蔵[モリカツゾウ]
嘉永元(1848)年、久留里藩家老の森格左衛門の長男として生まれる。慶応2(1866)年、高十人扶持取次普請奉行。同3年、久留里藩江戸市中取締にあたり副隊長。同4年、上野広小路にて旧幕府軍と戦う、副隊長。明治2年、藩校の句読師となる。御前手大筒奉行。明治20年代に住まいを東京に移す。その後、火災に遭い、久留里藩関係の資料を焼失。同25年、山県農場へ管理者として赴任。同27年、同藩主の黒田家より史料のまとめを依頼される。大正5(1916)年没。享年68。主な著書に「雨城廼一滴」『久留里藩制一班』など多数
石川健[イシカワケン]
昭和7(1932)年、宇都宮市生まれ。昭和30年、宇都宮大学卒業。栃木県立矢板高等学校、同宇都宮商高、同宇都宮高校教諭を経て、昭和46年、栃木県教育委員会県史編さん室に勤務、『栃木県史』の編さん業務に当たる。昭和53年、栃木県教育委員会高校教育課指導主事。以後、宇都宮中央女子高教頭、県教育研修センター部長、今市高、真岡高校長を歴任。現在、栃木県立文書館古文書専門員、宇都宮文星短期大学講師
石川明範[イシカワアキノリ]
昭和37(1962)年、栃木県真岡市生まれ。昭和59年、筑波大学第I学類人文類卒業。現在、栃木県立博物館主任研究員、宇都宮大学非常勤講師、鹿沼市史編さん専門委員、藤岡町史編さん専門委員。県立博物館での主な企画に「行楽・観光・レジャー 余暇の近代化」(平成5年)、「明治天皇と御巡幸」(平成9年)があり、主な論考に「近代製麻工業と鹿沼」(『かぬま 歴史と文化3』)、「保晃会 日光の保存につくした人々」(『日光近代学事始』所収 随想社)がある
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