内容説明
第一級の資料 侍従武官長・奈良武次「日記」「回顧録」をもとに全旅程をたどり、近現代日本にとって天皇の存在とは何かを考察する!皇太子を変えた百八十日。
目次
プロローグ 裕仁皇太子外遊の時代背景
第1章 「箱入り教育」から表舞台へ
第2章 大英帝国との出合い
第3章 大陸の戦跡に立つ
第4章 開き始めた「菊のカーテン」
第5章 「立憲君主」への試練
第6章 幻の訪米から半世紀
エピローグ 明治天皇崩御と権威の空白の先にあったもの
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
23
わが家には「長門で天皇陛下と欧州を回った」という話が伝わるが、もちろん間違い。祖父が海軍に入隊した大正10年に裕仁皇太子が御召艦香取で外遊した話と昭和4年に祖父が乗艦していた長門を御召艦とした日本近海行幸の任務に就いた話を繰り返し聞かされているうちに混ざったらしい。父の記憶違いと一笑に付すよりも皇室との関わりがどれ程の名誉だったかという痛々しい高揚感を素直に受け止めた方が大戦間を生き生きと理解できる。自称「カゴの鳥」だった皇太子が見違えるほど成長した旅。また、わが国を救った聖断の伏線になった旅でもあった。2016/06/07
フンフン
1
公刊されていない奈良武次日記や外交史料館などの資料をもとに、昭和天皇が皇太子だった大正10年のヨーロッパ訪問のようすを生き生きと描く。戦後の訪欧や訪米にも触れている。2013/10/06