内容説明
その夏、ウルティマーが一羽のフクロウを連れてぼくの家にやってきた―ニューメキシコ州の小さな平原の町に生きる少年アントニオ。さまざまな出来事に出会うなか、少年をいつも見守ってくれたのは、不思議な癒しの力をもった祖母ウルティマだった。そして、揺れ動く心を抱えて、少年は世界を知る。全米で20年以上にわたって多くの読者に愛され、30万部を超えるロングセラーとなった伝説的作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねお
1
宗教を否定も肯定もせず、大きな喪失と向き合い成長していくアントニオの心が穏やかな文体で描かれていて、良かった。 > たいていの場合、われわれが悪と呼ぶことは、じつのところ、ちっとも悪なんかじゃない。ただ自分達に理解できないから、それを悪と呼ぶんだな。そしてわれわれが悪を恐れるのも、それを理解できないからなんだ。[...]理解するのに一生かかることだってある。というのは、結局、理解するということは、みんなを思いやることなんだから。2023/12/17
ホ
0
魔女が出てくる話の中で一番好きな話。2009/09/30
しお
0
金原氏のエッセイで名前が挙がっていたので。不思議な本で、よい本だった。宗教観の違い、文化の違いを肌で感じることができる。物語の綴り方も、普段読むものとどこか違ってみえるのが面白い。冷然とした現実が頑として立ち現れる一方で、幻想的で暖かな、魔術的な要素も現実として寄り添うその調和がなんともいえない。幼い主人公の抱える悩みはある種よくある児童文学的なものであるのに、重厚さ緻密さに包まれていた。前述のあらゆる要素が有機的に絡み合って出来上がった、大人が読みたいジュブナイル。2019/04/16