内容説明
パリ郊外、低家賃団地が建ち並ぶ街サルセル。団地の人びとは誰もが鬱屈した思いを抱き、少しずつ常軌を逸していた。異常なまでに秩序にこだわる刑事シュナイダー、二重人格のその妻フランス、1日中、ラジオやテレビをつけっ放しにしている「ニュース狂い」の青年、九官鳥に人種差別的な言葉を教えこむ老人、巨大な双頭の鯉と格闘する下水道の掃除人、そして軍隊からごっそりと手榴弾を持ち出した志願兵のジャン・イヴ。パリの街に次々と手榴弾が炸烈する。事件を追うシャナイダー刑事の胸に抑えがたい暴力への衝動が突きあげる。そして妻のフランスの心の中では、別人格「娼婦のマギー」が死に、「ブラッディ・マリー」が現れる…。病めるフランスの現代社会を映し出した衝撃の作品。仏ミステリー批評家大賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
uni
5
パリ郊外の団地に暮らす人達の閉鎖的物語。鬱々とそして常軌を逸した人格者ばかりが出てきてどんより暗い気持ちになりそうで、、、ならなかった。展開が早くページが進む進む。秩序にこだわり狂った刑事、多重人格のその妻、社会に反感を持ち手榴弾ぶっぱなす若き青年志願兵、下半身に囚われた黒人、など狂ってる、というより何かが欠落したと言うのが妥当な登場人物が魅力的な作品。性と暴力と濃い人間臭立ちこめてるのに、そんなに重く感じない、読後感も良好な作品。2014/02/19
takao
1
ふむ2025/07/02
つゆり
0
うーん。誰も救われない話。もっと心理学的な話かと思ったんだけど。2015/12/07
fukafkacraft
0
遙か昔に読んだので内容はまったく覚えていない。というより、イカレた人間ばかりで何がなんだかわからない。ただタイトルに惹かれただけ。ノワールとは何か? 知るために読んだ。文体がパンキッシュで読みやすく、軽快な心地良さがあったのだけは覚えている。パリ郊外が舞台だが、フランスの雰囲気を楽しめる感じではない。「病めるフランスの現代社会を映し出した衝撃の作品」と帯にあったが、病んでるのはこの本だ。