内容説明
除隊後、人物画を描かなくなり、六百枚もの戦場のスケッチを秘したまま死去した画家・田口秋魚。彼の所属した第117連隊を追った秋田魁新報の記者・菅生伝之進。彼らの日記や記事をもとに中国での戦争の実相に迫る。
目次
第1章 戦場への道
第2章 文章報国
第3章 記者の戦死
第4章 英霊報道
感想・レビュー
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nnpusnsn1945
37
第108師団歩兵第117連隊に出征した秋田県出身の画家田口秋魚、彼に取材し、後に戦死した秋田魁新報社の菅生伝之進の動向(田口氏のスケッチブック、菅生氏の記事や伝記、第1大隊長の清水清二中佐の日記)をベースに華北戦線と、日本国内の新聞報道を描いている。戦場における掃討作戦、軍紀不良、成安における第2大隊全滅等、戦場の実態が田口氏らの日記からうかがえる。2023/08/24
Toska
14
日中戦争で戦った秋田出身の日本画家と、同じ戦いで戦死した『秋田魁新報』の従軍特派員を主題とするノンフィクション(ちなみに著者も同紙の記者)。「戦争と郷土」というテーマを深く掘り下げた内容に惹き込まれる。軍隊が地域に根ざしていた日本において、郷土からの熱い視線は兵士たちの生きる糧となり、同時に彼らを死地へ導く引き綱ともなった。自らも地方紙の記者である著者は、そのことの残酷さから目を逸らしていない。2025/08/24
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