出版社内容情報
「芋粥を飽きるほど食べたい」という五位のささやかな欲望は、藤原利仁によって、大釜いっぱいの粥をふるまわれた瞬間に霧散する。「今昔物語」を素材に、たくみな心理描写で五位の人間像を浮き彫りにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クロメバル
2
叶わずに長年心の中にとどまっている欲望も、眼前で易々と現実のものとなっていくと一気に冷めてゆく。では、今私の中にある欲望もやはり同じ性質のものと見た方が、よいのでしょう。2019/12/30
はるか
0
自分の大切にしてきた小さな夢が、何の苦労もなしに突然不意に叶ってしまうようなことがあったら、自分もこれに近い感覚になるだろうと思った。しかし、せっかく叶えてくれようとしたこの人に救いがないなあ。あまり好きになれなかった。2016/02/06
那智
0
シンプルなお話ですが、一番好きな小説かもしれません。