感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
tieckP(ティークP)
10
ユーモアをメインに扱った論集で、その珍しさだけでも価値がある。「メインに」というのは、たとえば二次創作をパロディと絡めた論や、アメリカの風刺画を扱った論は、メトニミー的にはユーモアに関わるが、ユーモアの本質を見据えようという意識には見えないから。後書きに「おあとがよろしいようで」は次の噺家へのメッセージだと説明されているように、総花的に礎を築こうとする論集なので、個々の論における少々の肩透かし感はあるものの、幅広い目配りのユーモア文献で必読。頁数に比べてあまりに価格が高いので、文庫等になって欲しい。2022/07/12
KJ
2
関西発の研究ということ含めて面白い。笑いの機能として親密と排斥、自己批評と他者毀損の表裏一体、性教育と出産に向かうナッジを両立するための猥談のコントロールなど/「優越説」と「不一致説」をまとめられる可能性もありそう。「危害を及ぼさない、またはそうなるよう上手くパッケージングされたズレと新規性」が笑いの源泉なのかなと、何でも面白がる幼児を見ていても思う。優越説が出るのは自分が上なら危害が及ばないからかと/「不一致」を面白がる傾向が、知への欲望・文化やイノベーションの形成にも繋がるというのは言い過ぎだろうか?2025/09/04