内容説明
本書は、現代中国を代表する刑法学者である北京大学法学院陳興良教授の、数千年にも渡る中国刑法理論の発展の歴史を描き出した書籍の和訳である。本書の中心的テーマの一つは、旧ソ連刑法理論から日独刑法理論への転換である。新中国建国に伴い、ソ連の刑法理論が全面的に導入された。しかし、旧ソ連刑法理論には、過剰なイデオロギーや主観面の強調と言った問題があった。その中で、中国刑法理論の教義学化を目指して日独刑法理論を導入した陳教授を始めとする中国刑法学者の努力と、日中刑事学術交流の成果が、本書へと結実している。
目次
刑法学:死に向かって生きる
行為論の根源を探求
犯罪論体系:四要件から三段階へ
犯罪客体の神秘性の喪失
犯罪主体要件の解消
構成要件論の引波
違法性論の再建
責任理論の転換
不作為犯論の生成
因果関係の回帰
違法性阻却論の進化
過失犯論の展開
未遂犯論の濫觴
共犯論の転換
競合論の転換
著者等紹介
陳興良[チンコウリョウ]
1957年3月21日生まれ、浙江省義烏出身。1981年、法学学士(北京大学);1984年法学碩士(中国人民大学);1987年法学博士(中国人民大学)。1984年から1997年まで中国人民大学法学院教授;1998年以降北京大学法学院教授。北京大学刑事法治研究中心主任および教育部長江学者特聘教授を現任。2010年に日本刑法学会名誉会員称号獲得。研究領域:刑法哲学、判例刑法学、刑法解釈学
西原春夫[ニシハラハルオ]
1928年東京・武蔵野市生まれ。成蹊小学校、旧制高等学校を経て、早稲田大学第一法学部を卒業。同大学大学院法学研究科博士課程修了。早稲田大学助手、講師、助教授を経て、1967年早稲田大学教授。1972年法学部長、1982年~1990年早稲田大学第12代総長を務める。総長在職中に、日本私立大学団体連合会会長、文部省大学設置・学校法人審議会会長などを兼任1995年~1998年早稲田大学ヨーロッパセンター(ボン)館長。2007年瑞宝大綬章受章。現在、一般財団法人アジア平和貢献センター理事長、日本日中関係学会顧問、社団法人日中協会理事、公益社団法人日本中国友好協会顧問、公益財団法人矯正協会顧問、少林寺拳法東京都連盟会長など
松尾剛行[マツオタカユキ]
桃尾・松尾・難波法律事務所パートナー、慶應義塾大学講師(非常勤)、中央大学講師(非常勤)。弁護士(第一東京弁護士会)、ニューヨーク州弁護士。東京大学卒(法学士)、ハーバードロースクール卒(LL.M)、北京大学卒(法学修士・博士(法学))
王昭武[オウショウブ]
1968年中国湖北省生まれ。1991年武漢大学日本語学部卒業。2001年武漢大学法学部大学院入学。2005年同志社大学法学研究科博士前期課程修了。2009年同志社大学法学研究科博士後期課程修了。2009年4月より、蘇州大学法学部助教授、教授を歴任。2018年12月より、雲南大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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