内容説明
国学院大学日本文化研究所が広く江湖に開かれた形で行なってきた春秋二回の公開学術講演会は、昭和六十二年度からは日本の歴史と文化に関わる一つの大きなテーマを設定し、そのテーマの下にさまざまな切り口からのシリーズを組んで二年間に四回の講演会と総括としてのシンポジウムを開催、その成果をまとめて刊行するという方式を採用して今日に至っている。第六回目のシリーズに当たる今回の企画は、現憲法が施行されてから五十余年の間にさまざまな議論が交わされてきた憲法の政教分離問題を対象としつつ、最終的には法解釈にゆきつくとはいえ、その前提となるべき明治以降今日に至る政治と宗教に関する歴史認識を改めて検証するということに焦点を当てて、この方面の専門家に縦横に論じてもらい、将来のあるべき政教関係を展望することを意図している。
目次
1 シンポジウム
2 講演(国家神道の成立と終焉;国家神道体制と浄土真宗;戦後の政教問題と宗教の政治活動;戦後日本の政教分離―現状と今後の課題)
3 総括(「政治と宗教」のあるべき姿を模索して)
著者等紹介
阪本是丸[サカモトコレマル]
昭和25年生まれ。国学院大学大学院文学研究科神道学専攻修士課程修了。国学院大学日本文化研究所を経て現在国学院大学文学部教授。専攻日本近代宗教行政史・近代神社神道史。主著に『国家神道形成過程の研究』、『明治維新と国学者』など
中野毅[ナカノツヨシ]
昭和22年生まれ。筑波大学大学院哲学思想研究科博士課程単位取得退学。(財)東洋哲学研究所を経て現在創価大学文学部教授。専攻宗教学。主著に『宗教とナショナリズム』、『占領と日本宗教』(共著)など
金井新二[カナイシンジ]
昭和17年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在東京大学文学部教授。専攻宗教学・宗教史。主著に『神の国思想の現代的展開』、『現代宗教への問い』など
大原康男[オオハラヤスオ]
昭和17年生まれ。国学院大学大学院文学研究科神道学専攻博士課程単位取得退学。現在国学院大学日本文化研究所教授。専攻近代日本思想、政教関係論、皇室論、主著に『神道指令の研究』、『詳録・皇室をめぐる国会会議』など
藤原正信[フジワラマサノブ]
昭和31年生まれ。龍谷大学大学院文学研究科国史学専攻博士課程単位取得退学。龍谷大学仏教文化研究所・同社会学部を経て現在龍谷大学文学部講師。専攻は日本近代史。著書に「続・反「靖国」の射程」、共編に「赤松連城―資料」など
百地章[モモチアキラ]
昭和21年生まれ。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。愛媛大学法文学部を経て現在日本大学法学部教授。専攻は憲法学。著書に「憲法と政教分離」「政教分離とは何か」など
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