内容説明
近代知を支配するロゴス中心主義を批判し、〈演劇的知〉や〈パトスの知〉を提示してきた著者が、〈共通感覚〉から〈場所〉を経て〈リズム〉へと問題を展開し、現代思想に新しい地平を拓いた問題のエッセー集。〈知〉の地殻変動に、しなやかに対応する中村雄二郎の全体像ここに成る。
目次
共振する宇宙―人・物・自然
二十一世紀へのサバイバル
〈南型知〉と近代産業社会
場所・リズム・共振
現代思想と密教
M.フーコーとの遭遇
いまゲーテが面白い
大岡昇平と〈知の規矩〉
移動するトポス
〈南型知〉の掘り起こし―ナポリ論序説
デリダの方法とハイデガーの〈精神〉
フーコーと日本の思想風土
感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
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リサイクル本。1991年初出。結論から言うと、21Cには、 リズム(傍点)や 共振(傍点) を含む振動がこれまでよりもいろいろな分野で飛躍的に問題になり、相互に結びつくという(86頁)。学際研究の発展は当たっている。現代社会の特徴は、諸変動が生活のリズムを混乱させた。結果、コミュ喪失した。文化接触が盛んになり、文化の否定性が問題になってきている。人類は動物や自然に責任を持つ必要があり、独善的になってはならない(105頁)。バリ島では、有限なものの自在な組み合わせで、新しいものがつくり出される。2016/06/28