出版社内容情報
墓を見れば、人びとの姿が見えてくる
死者を誰が弔うのか。亡骸をどのように、どこに埋葬するのか。そして、墓はいつからいまのようになったのか――。あらゆる土地の墓をめぐり、死と向き合ってきた人びとの実像を、文化や歴史のなかからすくいとり、その礎に横たわる死生観の核心に迫る力作。
内容説明
墓を見れば、人びとの姿が見えてくる。死者を誰が弔うのか。亡骸をどのように、どこに埋葬するのか。そして、墓はいつからいまのようになったのか―。あらゆる土地の墓をめぐり、死と向き合ってきた人びとの実像を、文化や歴史のなかからすくいとり、その礎に横たわる死生観の核心に迫る力作。
目次
第一章 浄土真宗門徒の火葬
第二章 火葬と土葬の歴史(1)―火葬と寺院納骨の歴史的形成
第三章 火葬と土葬の歴史(2)―火葬から遺体槨納・土葬への回帰
第四章 分骨と仏教聖人・聖地への一体化
第五章 救済の死者供養習俗
第六章 土葬と「お墓」の誕生
第七章 政治権力と死生観の文化
著者等紹介
岩田重則[イワタシゲノリ]
1961年静岡県生まれ。専攻は歴史学/民俗学。1994年早稲田大学大学院文学研究科史学(日本史)専攻博士後期課程、課程修了退学。2006年博士(社会学。慶應義塾大学社会学研究科)。東京学芸大学教授を経て、中央大学総合政策学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Go Extreme
2
生と死、この世とあの世の移行が軽いポップカルチャー 「いのち」の抽象化が進む現代 火葬継続する浄土真宗門徒 阿弥陀如来への徹底帰依 仏教伝来と火葬の始まり 権力の象徴としての火葬 寺院納骨を一般化させた末法思想 再生を妨げる火葬と可能にする土葬 仏教聖人による死者救済 上層葬墓制の火葬から土葬への転換 現世との断絶から連続性重視への死生観変化 旧近江国の土葬無墓制 無墓制から両墓制へ 少子高齢化が変える葬送儀礼 「お墓」を持たない選択の増加2025/05/06
onepei
1
土葬→火葬の一方向ではない変移が興味深い2025/06/08
So Honda
0
日本はもともと土葬中心だったのが火葬へと変っていった、という漠然とした常識を覆す一冊。墓がない無墓制、寺院納骨、遺骨を遺棄する習慣なども初めて知った。死者を送り出したらそれっきりの西方極楽往生と、毎年お盆に死者が帰ってくる先祖崇拝の重層性も興味深い。惜しむらくは文章の煩雑さ。繰り返し、重複が多かったり、細切れな短文に癖があったり。整理すれば3分の2くらいに収まりそうだし、より論点が鮮明になるだろう。2025/07/14
縞目
0
中世の往生伝における、火葬の煙が極楽浄土に向かうような想像力はおもしろい。タバコ発祥の地メソアメリカで、かつてその煙が人の世界と神の世界をつなぐものだったのに近い。さらにいうなら、本では浄土真宗が多く取り上げられているが、個人的には、南無阿弥陀仏の声がするところが自分の墓場だといった法然から一遍までの声や息や風の想像力を考えたい。土葬と火葬の問題を距離の想像力として捉える。親鸞は念仏を法然、一遍ほど重視しなかった。浄土真宗は広まりはしたが、近さを重視する土葬や先祖崇拝が強まったのはそのためではないか。2025/06/02