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出版社内容情報
トラウマ研究と、医療・福祉の現象学の第一人者が、具体と抽象を行き来しながら紡ぎ出す、比類なき対談集。
「学問的な硬い概念では取りこぼされる人間の経験の微細なニュアンスについて、考察することへと宮地さんも私もいざなわれた(「まえがき」より)」――村上靖彦
「表面的な言葉の群れにとどまらない、なにか微かだけれども、底流に流れている大切なものを拾い続けられたらと思う(「あとがき」より)」――宮地尚子
内容説明
トラウマ研究と、医療・福祉の現象学の第一人者が、具体と抽象を行き来しながら紡ぎ出す、比類なき対談集。
目次
1 聞く、読む、書く(「それる」―ケアと時間 2021年8月19日(木)
「もどる」―リズムと身体 2021年9月27日(月))
2 動きをみつめる(「とまる」―生とトラウマ 2022年2月19日(土)
「すぎる」―痕跡と生存 2022年3月11日(金)
「はずす」―ユーモアと曖昧さ 2022年4月29日(金)
「きえる」―記憶と圧力 2022年6月5日(日))
著者等紹介
宮地尚子[ミヤジナオコ]
一橋大学大学院社会学研究科教授。精神科医、医学博士。専門は文化精神医学。医療人類学、トラウマとジェンダー
村上靖彦[ムラカミヤスヒコ]
大阪大学大学院人間科学研究科人間科学専攻教授。専門は現象学的な質的研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hasebo
3
宮地尚子さんの語りが読みたくて読んだ。対談相手の村上さんのフィールドは現象学など哲学のようだが独特の言葉使いなど、難解に感じた。宮地さんはそれに比べるとより感覚的、臨床的な視点で話してくれる分、すっと入ってくるものがあった。二人の立っている地平の違いを感じる本だった。2023/07/27
uettee
3
対談集。ケアとトラウマと時間についてとあったが、言葉は難しいくはないけれども、内容を理解するのには少しレベルの高い対談。読後の感想として、会話がずれるというところに面白みがあるかもしれない。さらに、一つ挙げるとすれば、包容力のようなものはユーモアに含まれている、という一文。少し自分の器からはみ出したところに、心の変動の真髄があるのではないかと思わせてくれる。様々な文献や、著名な人物がでてくるため、研究者のガチな対談を本を通して体験できるといった感じだろうか。難しかったです。2023/06/11
咲
2
ふたりの対話、ほんと、噛み合わないなあ、なんて思いながら読んだ。対話するときって、語られない水準において同じになろうとする意欲が漂っていて、態度や言葉で「一緒」を目指している気がする。一緒は心地良いから。だからこそ、本著。別領域のふたりが、自分の思想背景や学問領域についてぽんぽんと語る。相手が訳分からんことを言いはじめたときには疑問を挟みつつも、言われた方は、言葉を尽くして分かってもらおうとはせず、説明を試みながらも、相手の理解を待たずに自己で完結するようにして好き勝手に話しながら思考を飛ばしていく。2024/01/07
mori-ful
2
宮地さんの『ゴドーを待ちながら』の二人は「仲が良い」「不条理ではなくて、心温まる作品」「悪人がいない」というコメントが面白かった。村上さんのヘンリー・ジェイムズ作品の「他者とのかみ合わなさ」、「ねじの回転」は統合失調症の妄想そのものというコメントもなるほど。臨床の経験の言葉にし辛さも印象的。あと宮地さんの「外傷的世界観」という言葉も興味深い。一般的に使われるものでもなさそう。2023/07/15
チバ
1
新聞の書評で紹介されていたので手にとった。ちょっと難しかった。この後どんな経験をすれば容易に理解出来るようになるかな・・。ヤングケアラーの話も少しあった。自分にも関わりのあるストーリーの方がつらいけど自分の中で納得できるし次の行動につながるという事はあって、自分と全然関係ないところで物事が起きていたとしたら「自分はちっぽけな駒にすぎないんだ」というように思って、生きる気力も無くなっちゃうかもしれない。という所が深く考えさせられた。2023/08/16