出版社内容情報
教授と学生の博士号狂想曲がはじまる--
長年つとめた東工大もあと数年。そんなおりかかってきた1本の電話。紹介されたのは大学院進学を希望する才気煥発なひとりの青年だった。のこされた時間のなか、この「後れてきた青年」とヒラノ教授との博士号に向けた苦闘の日々を描く。
内容説明
ある日、研究室の電話が鳴った。内容はある青年を紹介したいというものだった。定年を間近にひかえたヒラノ教授のもとをおとずれた才気煥発な青年。おたがいに寄り添いながら博士号をめざして奮闘する日々。その結末とは―。
目次
1 セレブから頼まれた学生
2 教授と学生のウィンウィン関係
3 教授と学生のウィンウィン関係―つづき
4 博士号を取得するまで
5 手がかかる学生
6 研究テーマの選択
7 博士論文の審査
8 ヒラノ教授とその助手
9 大学から実務の世界へ
10 リターン・トゥー・アカデミア
著者等紹介
今野浩[コンノヒロシ]
1940年生まれ。専門はORと金融工学。東京大学工学部卒業、スタンフォード大学OR学科博士課程修了。Ph.D.、工学博士。筑波大学助教授、東京工業大学教授、中央大学教授、日本OR学会会長を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Totchang
9
初めての作家。まさかこんな内容だとは思いもしなかった。「OR」だって知らないのに。「金融工学」とか「理財工学」が何故工学部で経済学部ではないかの理由はなんとなく理解できた。それにしても「教授」への道のりは大変なんだと感じた。すべて英文の論文を一定数以上投稿して学術誌に掲載させるなんてその努力の凄さには息を呑む。確かに国立大学が法人化されてから、私の出身大学でも論文の数を云々するような報告が出てきていた。金融工学を収めていても、ファンドが破綻することがあるというのもちょっとした驚きだった。東工大、すごい。2022/05/28
スプリント
9
登場する学生たちの行く末が気になって一気に読了。 大学の組織構造や慣習が知ることができた。 大学から離れたヒラノ教授の老後の生活も垣間見ることができた。2022/03/31
tekutekukiyo
2
タイトルが気になり、なんとなく手にとりました。ヒラノ教授シリーズは初めてです。学者の世界が赤裸々に書かれており、感嘆しました。2022/05/04
らう
2
図書館でなんとなく気になって借りた本です。 途中、最後まで読めるかな?と思いながら読み進めました。自分には知らない世界が広がってて知らない言葉も出てきて、それを調べたりして世界が広がった気がします。 同じ大学院生でも博士と修士ではかなり立場が違うのですね。 そして大学の内情や教授の受け持ちの生徒に対する細やかな気配りにも「ほー」とか「へー」とか思いながらの読書体験でした。たまには自分が全然知らない事を書いた本を読むのも面白いですね。 2022/06/10
とり
1
工学部ヒラノ教授シリーズの最新作。そして、残念ながら今野先生の遺作となってしまった。ヒラノ教授が東工大〜中大時代に関わった学生の一人酒井俊介氏(仮名)に焦点を当てたもの。医学部を目指しながらも挫折、東京理科大学に入学。その後、東京工業大学大学院に入学、学位取得後は中央大学助手、投資顧問会社に就職と、経歴だけ列挙すると華麗だが、家庭環境が複雑で、なかなかにハードな人生らしい。本書は、名前こそ若干変えてあるものの95%は真実を元に書かれている。ここまで書いて良いものかと、本シリーズを読むたびに思う。2022/04/29