出版社内容情報
二人のアイヌの、その数奇な運命を辿る。
世界初の南極点到達を目指し、白瀬中尉の率いた探検隊に加わって大きな役割を果たした2人の樺太アイヌたち。その秘められた活躍に新たな光を当てる。樺太アイヌを題材とした第162回直木賞受賞作『熱源』の参考資料としても注目されている名著の増補新版。
目次
第1章 樺太アイヌ山辺と白瀬(樺太アイヌと日露戦争;樺太と秋田県由利地方の因縁;日露戦争 ほか)
第2章 南極探検への道(南極探検への始動;出航;カラフト犬 ほか)
第3章 数奇な運命(郷里樺太;白瀬のさすらいの旅;再び故郷を追われて ほか)
著者等紹介
佐藤忠悦[サトウチュウエツ]
1940年秋田県金浦町生まれ。秋田県立本荘高等学校卒業。金浦町役場、白瀬南極探検隊記念館に勤務。南極探検隊長白瀬矗顕彰会顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yumiha
40
『熱源』(川越宗一)のヤヨマネクフとシシラトカをもっと知りたくて本書をチョイス。なんせ、そのお二人の写真が表紙やし。でも最初の1ページから、ふつふつと怒り。白瀬南極隊が上陸し極点近くまで行った時の記念写真から、ヤヨマネクフとシシラトカが省かれていたからだ。当時のアイヌ差別は、こんなところにも・・と思い知らされる。驚いたのは、ワタクシの田舎出身者だった南極探検船の船長、そして「白瀬」の由来となった地名も、小学校の校区だったこと。いやぁ世間は狭いですなあ。2020/08/27
NORI
24
直木賞作品・川越宗一「熱源」の参考文献の一つ。南極探検犬と言えば、昭和のタロ・ジロが有名だけど、明治時代に先輩がいた!そして、探検隊の"犬奉行"として、二人のアイヌ人が参加していた。白瀬隊長の人生と共に、アイヌの人々との関係を解説。「熱源」の重要登場人物の写真なども掲載されており、補足資料として読むと大変興味深い。 欧米の不平等条約とかホント腹が立つけど、日本人が、同レベルかもっと酷いことをアイヌの方々に対してやらかしていた事実が悲しい。樺太庁長官・平岡定太郎(三島由紀夫の祖父)も結構酷いこと言っている。2024/05/29
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
10
5か月ぶりの例会。【テーマ アイヌの本の持ち寄り】旭川の某高校の郷土部(アイヌ文化)が毎年発刊する「上川アイヌ研究」の紹介もありました(我が子が通う高校なんです)。全員がマスク着用・消毒・密にならないように心がけての例会でしたがとても盛り上がりました。感染予防に注意を払い、毎月行いたいです。2020/06/23
66 (Audible オーディブル毎日聴いてます)
9
「熱源」を読み面白かったので、関連図書。「熱源」がフィクションではなかった、と再確認しつつ、アイヌの人の差別って明治時代までではなかったのか、と驚いた。関東にいるせいか、差別というと同和問題くらいしか認識がなく、「アイヌであることがわかり離婚」「触れられたくない古傷にさわるようなことをしないでほしい」「アイヌの人が出自を秘してきた」なんて全くしらなかった。南極話とともに新しい知見を得ました。本てありがたい。あ、あと「しらせ」は白瀬隊長由来ってのはよかった。図書館本2020/08/16
くれの
8
奴隷宛らだったアイヌへの自らの無知を痛感しました。赤道を越え彼らを導いた勇敢な樺太犬を悼み、彼らが民族の誇りに命を懸けて同行した極地行に鑽仰します。ハウキを始め彼らの文化と歴史にもっと目を向けたいと思いました。2021/01/08