出版社内容情報
社会学の巨人が遺した最期の言葉
社会には暴力が歯止めなくあふれ、格差は拡大の一途をたどり、弱くなる国家や強まる自己責任論は人びとをよりいっそうの不安と孤独へと追いやっている。前途が見えず、過去に憧憬をいだく時代に、わたしたちはどこへ向かうのか。巨人がみつめた、いま、そして未来。
ジグムント・バウマン[ジグムントバウマン]
著・文・その他
内容説明
社会学の巨人が遺した最期の言葉。社会には暴力が歯止めなくあふれ、格差は拡大の一途をたどり、弱くなる国家や強まる自己責任論は人びとをよりいっそうの不安と孤独へと追いやっている。前途が見えず、過去に憧憬をいだく時代に、わたしたちはどこに向かうのか。巨人がみつめた、いま、そして未来。
目次
プロローグ―レトロトピアの時代
第1章 ホッブズへの回帰?
第2章 同族主義への回帰
第3章 不平等への回帰
第4章 子宮への回帰
エピローグ―変化を期待して
著者等紹介
バウマン,ジグムント[バウマン,ジグムント] [Bauman,Zygmunt]
1925‐2017。ポーランド生まれ。イギリスのリーズ大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sayan
21
バウマンの著作では難解な1冊になる。EU等で顕著な人々の回帰願望を分析する。背景に我々の連帯のあり方が新しい所与の社会に適応できないでいる欠陥に対応するリヴァイアサン(政治)の不在とする。そして副題のレトロピア=ある種のユートピア回帰(帰属)傾向は、安定感等の基盤(トマス・モアの遺産)に共通点を持ち、長期間の安全(リヴァイアサン)と自由の両立不可に刺激を受けたとする。著者は個人対集団の弁証法から、帰属は我vs彼らを通じたアイデンティティ探求の基準点探しとする。そして、この動きに参加できない難民に言及した。2019/04/30
tu
3
p26私たちは将来大惨事が起きたら自分は救援する側に回るだろうと想像しているかもしれない。しかしもし国家が破壊され地方の公共機関も崩壊し経済的な理由で人を殺すような状況になれば善良に振る舞える人などほとんどいないだろう。1930年代40年代のヨーロッパ人よりも私たちの方が倫理的に優れているとか、この問題に関してはヒトラーが広めて実現させたような考えには染まらないなどと考える理由は存在しない。2019/02/11
しお
2
いくつかの回帰を切り口にノスタルジーへの回帰という現象を分析する。vaporwaveなどに代表されるように「あの頃」への回帰がサブカルチャーで跋扈しているが、私たちの社会的・文化的条件を分析する限り然もありなんというわけだ。しかしそれを手放しに享楽するほどに、私たちはあまりにも貧困になり、すなわち強度を失っている。この袋小路の中にあらゆる差別や排除が横たわる。ハーヴェイのような断定こそできないが、私たちがこの回帰から降りることは非常に難しい。このバウマン自身がサッチャーの言から離れられないように、である。2022/04/18
abs862618
2
とても良かった。子宮への回帰なんてまさにここ何年も全く同じことを考えていたので納得しかない。あと、冒頭部分で、ベンヤミンが『歴史哲学テーゼ』の中で、パウル・クレーの「歴史の天使」について触れてる部分を引用してたのが印象的。なぜなら、先日読んだ『現代アートとは何か』によると、2015年のヴェネツィアビエンナーレでも、同書の全く同じ部分が引用されており、総合テーマに用いられていたようだから。ってことは、欧米の知識人の間では現在の分断の時代に対して、ある一定の共通イメージがあるってことなのかなぁ。気になる。2019/02/07
河村祐介
1
いまの日本の地獄そのまんまだなー2019/08/23
-
- 和書
- 現代経営学説の探究