内容説明
幸田露伴の漢文脈はなぜ近代文学と接続しえなかったのか、トーマス・マンとワーグナーの壮麗なすれ違いはいかなる芸術を生み、ハイデガーによるテクネーの問いはいかにして人間性を説き起こし、エグルストンの風景はアメリカをどのように切り出したのか―圧倒的なエピソードの奔流と、豊穣かつ痛切な思惟が繰り広げる歴史と文学の交錯、数多の書物を世に問うてきた著者が渾身の力を注ぎながらついに果たしえなかった未完の連載を待望の集成。
目次
露伴彬彬(露伴的な文と溢れ出るもの;露伴的な歴史と過去という炎 ほか)
ヨーロッパの死(ローマ人との対話;H・ブロッホとM・ユルスナール ほか)
アドルフ・ヒトラーとハイデガー哲学(テクネーとテクノロジィ;建築と共同体)
テンス、テラー&テロワール(文芸評論家)
著者等紹介
福田和也[フクダカズヤ]
1960年東京生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒。同大学院修士課程修了。慶應義塾大学環境情報学部教授。1989年、『奇妙な廃墟―フランスにおける反近代主義の系譜とコラボラトゥール』(国書刊行会)を刊行し、文筆家としての活動を開始。1993年、『日本の家郷』(新潮社)で三島由紀夫賞を受賞。『甘美な人生』(ちくま学芸文庫)で平林たい子文学賞、『地ひらく―石原莞爾と昭和の夢』(文春文庫)で山本七平賞、『悪女の美食術』(講談社文庫)で講談社エッセイ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイキ
1
「〈現実〉自体を生産し、観客の意識に注ぎ込む、という〈世界〉自体を工業生産することこそが、ワーグナーの発明した〈全体〉という現象なのである。(略)〈映画の父〉D・グリフィスの『イントレランス』は、まぎれもなく《ニーベルンゲンの指輪》の嗣子であったし、(略)ディズニーは、〈現実〉の生産にかかわる技術的な自在度をアニメーションによって飛躍的に進化させた。今日、コンピューター・グラフィックスによって〈もう一つの世界〉は、(略)まさしくワーグナーの試みは、ニンテンドウによって完遂されたのである。(続)↓」2020/01/18
hiratax
0
未完結の論集で、幸田露伴論など収録されているのだが、福田がわざとだろうといったふうな漢字を使うので、なんども(電子)辞書を引いた。スムーズに読めない読書体験こそためになるものかとも。2018/03/16
-
- 電子書籍
- 悪女と言われて婚約破棄されたら、イジワ…