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内容説明
「鳥」「笹」「バケツ」が象徴しているものは何か。登場人物に爪がないのはなぜなのか。一本のまつげは何を表そうとしているのか。ほんの小さな台詞の変更がもたらした思いがけない効果とは…原作マンガとアニメーションを往復しながら、1カット、1コマにいたるまで詳細に…「見/観」尽くした著者だからこそできる、ファン待望の分析本!
目次
ことば
かく
くらし
からだ
きおく
スペシャル対談 片渕須直×細馬宏通トークセッション―「この世界の片隅に」の、そのまた片隅に
論考 『漫画アクション』の片隅に―「この世界の片隅に」の居場所
著者等紹介
細馬宏通[ホソマヒロミチ]
1960年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了(動物学)。現在、滋賀県立大学人間文化学部教授。ことばと身体動作の時間構造、視聴覚メディア史を研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akihiko810/アカウント移行中
11
『この世界の片隅に』原作漫画〜アニメ映画比較論。印象度A- 原作は何年か前に読んだきりだし、映画は1度観たきりだが、本書を読むことで、『この世界の片隅に』に触れた時のことを思い出す。本書はアニメと原作の差異や、原作で描かれた細かい場面の読み解きなどの考察がされている。原作もアニメもとても綿密に調べられて作られているので、その考察がとても役に立つ。片渕監督と著者の対談では、監督がいかに調べて作られているか(北条家のバケツに原作から推測した住所が書かれていたり)が明かされる。本書は、原作と映画は必読。2020/12/21
Akira Kumoi
6
あの「介護するからだ」の人間行動学者、細馬宏通先生による「この世界の片隅に」論。原作コミックスを傍らに置きながら、ゆっくり少しずつ読みました。いやもうさすが細馬先生細かいところまでよーく見ていらっしゃる。片渕監督も感嘆するわけですね。2018/01/06
kog
4
朝ドラ「カーネーション」評で細馬さんを知った。人物の心の機微やその背景を繊細に分析する描写に驚いた。本作を映画館で五回は観た自分の場合、ついその興奮自体を伝えようとしてしまう。細馬さんの語りはずっと静かで細やかだ。爪、まつげ、かまど、書く、笹、紅、こまい、バケツ、しらみ、記憶。物語を構成する細部や、何気ない所作自体の持つ語りを拾い上げ、物語をより重奏的に鮮やかにする。町山さんや宇多丸さんの評論とも切り口が異なる。トリビア与えるのでなく、そこに確実にあったあれとこれをより深く観察して物語の靄を晴らしていく。2017/09/10
gu
3
具体的な細部に着目し、小さな疑問をおろそかにせず、繰り返し鑑賞して作品の豊かさを繙いていく。優れた批評は読者をその作品へ(再び)駆り立てるという言葉が思い出される。“むしろ、「記憶」の方が主体なのだ。人の意志や意識のあるなしにかかわらず、切れ切れの記憶たちは、人の表情や小さなしぐさを見つけては、ちょうどよいねぐらを見つけるように、そこに宿ってしまう”2024/05/04
いちはじめ
3
大好きな作品を、大好きな人が熱く語る喜び。アニメ「この世界の片隅に」公開以来、その種の嬉しい驚きはいくつもあったが、本書は、純粋に作品論として素晴らしい。2017/12/09