出版社内容情報
末延芳晴[スエノブヨシハル]
内容説明
「文部省派遣留学生」夏目金之助。過酷で多難な長旅を経て、ロンドンでの自己喪失、幻視体験、狂気と紙一重の引きこもりを通し、自らを食い破って「小説家夏目漱石」へと変貌しゆく過程を克明に解き明かす、渾身の長篇評論。
目次
金之助、ロンドンに留学す
不安と戸惑いの横浜出航
船酔いに苦しむ金之助
光と影―イギリス植民地支配とアジアの現実
ノット夫人の一等船室で
砂漠の国の海を抜けて地中海へ
汽車の旅で難儀する金之助
初めての単独旅行―パリからロンドンへ
ロンドンの街頭に迷う金之助
『倫敦塔』―漱石自身による漱石殺し
最初から挫折した留学の夢
女の「過去の臭ひ」―ミルデ家の謎
東京海上保険ロンドン支店長が見たミルデ家
謎の少女アグニスの眼
黄色くきたない日本人
おしゃべりペンとの奇妙な友情
下宿に引きこもる金之助
『文学論』―強いられたプロジェクト
金之助、ロンドンに狂せり―自我の拠りどころを求めて
帰国―内なる流難と引きこもりに向けて
著者等紹介
末延芳晴[スエノブヨシハル]
文芸評論家。1942年生。東京大学文学部中国文学科卒業、同大学院修士課程に進学し、杜甫の詩を研究するも、アカデミックな研究が自身の資質に合わないことを悟って中退。結婚を機に1973年5月渡欧。アムステルダム/ストックホルム/ロンドン/ケンブリッジを経て同年7月、渡米。以来98年までニューヨーク在住、米国の現代音楽・美術・舞踏などについて批評を行う。1998年日本帰国後、長年の念願であった文芸評論の分野に筆を広げる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。