出版社内容情報
クリストファー・ウッドワード[クリストファーウッドワード]
森夏樹[モリナツキ]
内容説明
荒廃と追想に魅せられし文明の肖像。荒れはてたローマのコロセウム、18世紀西欧を席巻した「ピクチャレスク」・模造廃墟・人工廃墟、「アッシャー家の崩壊」、廃墟の博物館、そして核がもたらす黙示録的廃墟まで。古今の芸術家・文学者は、廃墟からいかに多くのインスピレーションをさずかってきたか。
目次
1 だれがデイジー・ミラーを殺したのか
2 つむじ曲がりの楽しみ
3 忘れられない廃家
4 傘も差さずにエフェソスで
5 模範とすべきはかなさ
6 時の難破船
7 大まじめに作られた模造廃墟
8 廃墟となった自画像
9 オジマンディアス・コンプレックス
10 宙に浮遊する埃
11 小説家、漁師、そして公爵
著者等紹介
ウッドワード,クリストファー[ウッドワード,クリストファー] [Woodward,Christopher]
美術史家。専門は建築。ケンブリッジ大学で美術史を学ぶ。エーヴォン州バース市のホルバーン美術館館長をへて、現在ロンドンのガーデン・ミュージアムの館長。廃墟への関心は、ロンドンのジョン・ソウン卿ミュージアムでアシスタント・キュレーターを務めていたときにはじまる。共著に『ロンドンの建築案内』『夜のイギリス庭園』などがあるが、本格的な著作としては『廃墟論』がデビュー作となる
森夏樹[モリナツキ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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内島菫
28
「訳者あとがき」で述べられているように、確かに「「裁きの日」に向かって直線的に進むキリスト教的時間」が、廃墟を死のメタファーとしてきっちり支えているのだろう。非キリスト教世界である古代ローマや東洋では、同じような形で廃墟について言われることはないから、美意識よりも時間意識の方が廃墟には根本的に関わっているのかもしれない。が、キリスト教世界といえども時間が常に一直線とは限らないという例が、模造廃墟だろう。その動機がロマン主義的な趣味にあり時間の攪乱でないにしても、後世の私たちが歴史の順番を間違える罠となる。2017/06/12
をとめ
0
図書館2016/11/10