出版社内容情報
異色の日本文学者が真面目に、しかし、洒脱に描く、新たな『源氏物語』論にして入門書。紫式部によって書かれた古典中の古典『源氏物語』。1000年以上も前にかかれた世界的にも貴重なこの小説は、女性によってかかれ女性たちに読まれたことでも稀有であった。スキャンダルあり泥沼の恋愛あり権力闘争あり浮気や不倫も当然あり。そんな『源氏物語』を女子大生と読むとき、いったいどんなイメージが現代によみがえるのか浮かび上がるのか。
内容説明
バリエーション豊かな登場人物たちがおりなす宮廷物語。異色の日本文学者がよみがえらせる、女性による女性のための『源氏物語』。
目次
『源氏物語』を読むための基礎知識
光源氏誕生秘話―「桐壺」巻その一
母の死と幼き恋―「桐壺」巻その二
語り手と語りの構造―「桐壺」巻その三~「帚木」巻その一
『源氏物語』のフェミニズム批評―「帚木」巻その二~「空蝉」巻
女性像をめぐる論争―「夕顔」巻
形代を求めて―「若紫」巻その一
禁忌を犯す―「若紫」巻その二
妄想の恋―「末摘花」巻
同じ女を愛する父と息子―「紅葉賀」巻
女の欲望―「花宴」巻~「葵」巻その一
呪われる源氏の運命―「葵」巻その二~「賢木」巻
著者等紹介
木村朗子[キムラサエコ]
1968年生まれ。津田塾大学学芸学部国際関係学科教授。専門は言語態分析、日本古典文学、日本文化研究、女性学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
貧家ピー
8
津田塾大2014年前期に行われた「源氏物語」講義と受講者の受講後コメントで構成。この授業は面白そう。知らなかったことを色々気づく・学べた。 1000年前の物語、写本があったからこそ今読むことができる。 おびただしい写本の系統研究があること。 数え11歳で元服、から考えると若紫の件は単なるロリコンという話ではないこと。和歌のやり取りが、かなり艶やかなこと。2019/03/16
ず〜みん
8
源氏物語は父帝や桐壺更衣も併せたら「無い物ねだりの物語」だと思う。誰もが何かが足りなくて、無い物ねだりをして足掻いて、虚しさから「あはれ」を知る。父帝は自由な愛を、桐壺更衣は身分を、光源氏は母親を、空蝉は若かりし頃の自分を…みたいな。だからこそ末摘花や花散里は何も望まず、身に余る幸せを手に入れた、と。女子大での源氏物語を講義をまとめたものだけど、日本の源氏物語研究がガラパゴスでとんでもない学説がまかり通っていることに驚きも。光君がレイピストとか、夕顔が娼婦とか。粗末な学説ふりかざないで研究進めてほしい。2018/08/27
もい
3
文学系大学生ですので興味を持って読みました。ただ淡々と訳していくのではなく、英訳との対比(主格問題)、視点の多重構造の紹介など様々な論を用いて源氏誕生前〜青年期の話を追っていて読み応えがありました。とくにジェンダー論専攻なので強姦小説論争が興味深かったです。生徒さん方のコメントにもハッとさせられました。ぜひ木村先生には須磨以降の話も解説していただきたいです。2016/07/01
ぬぴこ
3
講義形式で書かれているので、とても読みやすく、大学の講読の授業と重なる部分も多かった。また、日本文学専攻ではない学生の感想もあり、かえって新たな発見もあった。そして、改めて源氏物語には細かな伏線が多くあり、一つひとつに注目することで、読みが深まる楽しさを再確認した。中高生や中高の先生にもぜひ読んでほしい一冊。2016/02/23
はーちゃん
3
もともと源氏物語が好きで、現代語訳やさまざまな解説書を読んでいるが、実際の授業を文章にしたもので、おもしろかった。須磨以降もこういうふうな本にしてほしいなと思いました。2016/05/13