内容説明
廃墟のホテル、閉鎖された地下鉄のトンネル、下水道や共同溝、超高層ビルのてっぺん、忘れられた遺跡…ロンドン、パリ、ベルリン、デトロイト、シカゴ、ラスベガス、ロサンゼルスの「立入禁止区域」に侵入する、現代的探検記。カラー図版130点収録。
目次
1 UEの世界
2 歴史の廃墟
3 遷移をとらえる
4 潜入集団の台頭
5 地下の聖杯
6 新世界をハッキング
7 群衆と手錠
著者等紹介
ギャレット,ブラッドリー・L.[ギャレット,ブラッドリーL.] [Garrett,Bradley L.]
オックスフォード大学の研究者、ライター、写真家。カリフォルニア大学リヴァーサイド校で人類学を学び、オーストラリア、メキシコ、ハワイで働いた後に都市探検家となって米国と欧州で立入禁止の都市空間を撮影してきた、現代の文化人類学・都市研究家。その仕事はガーディアン紙やテレグラフ紙をはじめ、テレビ、ラジオでも紹介されている
東郷えりか[トウゴウエリカ]
上智大学外国語学部フランス語学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
宇宙猫
10
立入禁止区画に組織的に侵入を試みる都市探検家ににして民俗学者の本。犯罪行為を正当化する言い訳を並べ立てているようで、嫌になってしまってパラパラと飛ばし読み。写真集にすれば良かったのに。2015/09/05
シャル
7
文明の狭間で生まれた立入禁止区域。廃墟に始まり、ビルの屋上、下水道、そして地下鉄。そこへの侵入は、今の社会で失われつつある『自由』を示すための意思表示なのか。その中で何を感じるのか作者が同行し体験することで描き出していく。それはまさに現代における未知の世界への『冒険』であり、社会的生命的など様々な意味で境界線の上を渡っていく様は、その語り口もあって、ノンフィクションでありながら冒険小説めいていて、それでいてどこかSFのようでもある。社会との接点をどこに見出し、どう破っていくのか、まさに境界線の問題である。2015/12/16
向う岸
6
都市探検についての本。廃墟に始まり、下水道や閉鎖された地下鉄、施錠された高層ビルの屋上や巨大クレーンに監視の目をかいくぐって無断侵入する。といっても単なる無法者というわけではなく、作者は民族誌学の学者であり、都市探検はれっきとしたフィールドワーク。ごく身近にある隠された世界を探検したいという願望は人間が本来備わっているものだというのが彼らの主張であり、移動の自由を制限しようとする政府や警察への反発が反体制的に見えるところがある。ビビッドで鮮やかな写真が見ものだが、高所恐怖症の人は気を付けて。2016/11/05
qoop
5
建設現場、超高層ビル、地下鉄の廃駅など、都市の生活圏に隣接する立入禁止区域への無断侵入=都市探検。都市探検を通じて日常を脱する高揚感を獲得し、非人間的な管理社会に抜け穴を見出すことで自由と可能性の再発見に至る… 死の危険を自己責任と捉え、触法行為であっても被害者なき犯罪だと嘯く。それにしても、自ら都市探検家となりのめり込むことで、調査者と調査対象の根本的対立図式を捨象できたはずの著者が仲間から云われた一言(p286)は、行為者=研究者の著者にとってどう響いたのだろうか。そこがもっと知りたかった。2014/12/03
vonnel_g
3
都市の上下に広がる、普通は誰も入れない空間を探求する人たちの記録。極地を探検する人たち同様、体力と計画性と機動性が必要になるという。とにかく写真が美しい!廃墟趣味を卒業してから本番という一文が衝撃的。地下鉄の廃駅や下水道はともかく、今度からはビルのてっぺんを注意してみてみよう。2018/02/21