感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
19
ハイデッガーやリルケに愛されたオーストリア生まれの表現主義の詩人トラ-クルの詩、断片、戯曲、書簡、小伝などを集めたまさに「全集」。使われる言葉は色彩を多用するものの印象としては暗く、すべての詩の上に「没落」の気配が漂っている。アミエルは「一枚の草の葉にも物語がある」と言ったが、トラ-クルは宿命的ともいえる彼とオーストリアの「没落」のイメージ、この一枚の草の葉だけを数多のバリエーションを用いて素晴らしく表現豊かに歌い続けた。ネガティヴな言葉をこれだけ多様にある意味美しい七色に駆使する人を他に知らない。2020/06/27
やまはるか
7
ハイデッガーの「詩と言葉」で親しんできたトラークルの詩を深く味わうために入手したが不幸にも馴染めなかった。「ああ何と、青い川を下りゆく歩みは静かだったろう、忘れられたものを想いつつ運んだ歩み。緑の枝には つぐみが見知らぬものを没落へと呼び入れていた」が「おお 何と静かに 歩は 青い流れを下っていったことか 忘れられたものを想いながら、緑の枝の間で つぐみが 異郷のものを 没落へと誘った時」となっている。何度読み返しても、最初に読んだ言葉に邪魔されてトラークルの詩として読めない。詩の言葉は修正不能かも。2020/04/28
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