内容説明
アフロ・アメリカンの先鋭な表現として産み出された「フリージャズ」は世界各地に飛び火し、いかなる変容と発展を遂げたのか。激動の現代史のもとでラディカルな表現を追い求めるミュージシャンたちに肉迫し、ヨーロッパ辺境からアジアまで世界の革新的ジャズシーンを先取りしつづける著者渾身のドキュメント。
目次
第1章 フリージャズの変革を俯瞰する
第2章 世界のフリージャズが結集するドイツ・メールス・ジャズ祭
第3章 ヨーロッパに湧き起こるフリージャズ・ムーヴメント
第4章 ロシア・ジャズ・アヴァンギャルド
第5章 即興音楽の昨日・今日、明日
第6章 円盤上の想念と方法
著者等紹介
副島輝人[ソエジマテルト]
1931年生まれ。日本のフリージャズ誕生時から現場に密着した評論家・プロデューサーとして「ニュージャズ・ホール」の開設・運営や「フリージャズ大祭」等様々なイヴェントを企画。海外の前衛ジャズシーンの紹介とともに日本の尖鋭的ミュージシャンの海外公演プロデュースをてがけ、画期的交流を生み出してきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
1959のコールマン
3
☆5。フィリップ・ストレンジ氏とも岡田暁生氏とも村井康司氏とも違ったジャズ観が見えた一冊。読んでみると過去に発表した文章の収録集なので、出来れば同じテーマで全編書き下ろしを、と願ったが、著者が故人となってしまった今では無理か。とはいえ、前著「日本フリージャズ史」同様、熱きジャズ愛が炸裂。思わずむさぼり読んでしまった・・・。特にロシア・ジャズの項目は興味深く読ませてもらった。2019/03/01
Nepenthes
2
「日本フリージャズ史」の世界版。何処でも語られているフリージャズ発生の60年代ではなく、80年代以降をメインとしてあらゆるミュージシャンを紹介。個人的には「日本フリージャズ史」の方が圧倒的に面白かった。何故か考えてみたのだけれど、それは"昭和"という時代のささくれ立った感触がその鋭い音楽に内包されていることを体感として知っていたからだと思う。殺伐とした時代の空気から発生した血生臭い音楽と、気概を背負ったミュージシャン。その迫力が文章から立ち上がってきていた。まぁ好みだと思うので、また日を置いて読みたい。2023/04/11
ろま〜な
1
「日本フリージャズ史」から11年、また素晴らしく貴重な本。取り上げられているミュージシャンを私自身が結構生で聴いてたことに気付き驚きましたが、彼らを日本で聴けた裏に副島氏の功績も大きかったのかと。マイルスの音盤さえ聴いてれば良いとのたまうどこぞのジャズ本と違い、前衛の場に立ち会い続けてきた筆者の、国や民族や形式は関係なく新しい創造があってこそジャズである、という想いに深く同意するのでした。★詳細感想はブログへ→http://tubam.kamakurablog.com/Entry/73/2014/01/26
犬丸#9
1
★★★★★ 常に前衛にある人の,記録である。私も同じ志を持っていたはずだが5年と持たなかった。器の違いが大きすぎるのである。圧倒的。しかし,キース・ナントカ,チック・ナントカってwww2013/12/07
Takuo Iwamaru
1
本書に登場するミュージシャンのうち、おそらく95パーセント以上は僕の知らない人たち。そして98パーセント以上の人の音を聞いたことがない。つまりは本書の内容について、全くのド素人として読んだのですが、これが実に楽しく読めた! というのもまず文章そのものが読んでいて心に自然と熱が帯びる類の、いわば血の通った文章だったから。つまり著者のものの見方が生き生きとしていて、その熱が伝わる文章で、読むこと自体が快かった。ドイツやロシア等、諸外国のフリージャズ状況を語るくだりは旅情あふれる紀行文の味わいをも楽しめました。2013/11/16
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