内容説明
孤独な少年が自ら未来を切りひらき、成長してゆく物語。そこには賢治の生涯そのものが、そして当時の最先端科学知識が込められていた!科学の視点で、「銀河鉄道の夜」の謎を解く。
目次
第1章 (『銀河鉄道の夜』とは;銀河鉄道路線案内)
第2章 (ケンタウル祭の夜はいつか?;天気輪の柱とは何か?;天気輪の柱はどこにあったか?;空の三角標とは?;ジョバンニはどうやって銀河鉄道に乗ったのか?;ジョパンニたちはどの席に座っていたか ほか)
著者等紹介
寺門和夫[テラカドカズオ]
1947年生まれ。早稲田大学理工学部電気通信学科卒業。科学ジャーナリスト、一般財団法人日本宇宙フォーラム主任研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
58
緑のスクリーントーンでページを囲み、同じ緑インクの古風なフォントの本文。それだけですでに、作品世界と賢治の生きた時代に引き込まれる思いがする。「銀河鉄道の夜」自体も、こんな装丁で読みたくなるブックデザインが気に入った。作中の語句や事柄・背景について、憶測ではなく、科学的側面から実証的に探索した結果を述べた、タイトル通りの「フィールド・ノート」。ページ数の割には多数の図版が挿入されていて、賢治が実見して作品に取り入れたイメージを具体的に教えてくれるのがよかった。戦前の樺太の鉄道写真など、見たことがなく貴重。2022/03/27
Kikuyo
23
もう何回読んだかわからない「銀河鉄道の夜」。かすかな光を発する天の川の水の正体は?ケンタウル祭は一体いつ?天気輪とは?プレシオスとは?ブルカ二ロ博士の名前の由来など。図版が豊富で、科学的な視点から丹念な考察が楽しめて興味深い。賢治がいかに、正確な知識をベースに物語を組み立てていたかもわかる。科学の目を持ちつつ、宇宙に鉄道を走らせる賢治の想像力やひらめき、感性の煌めきを改めて感じられた。この夏またいつまでも美しい光を放つ「銀河鉄道」を楽しんでみよう。ほんたうの幸福に近づく一あしづつですから。2016/08/11
マカロニ マカロン
12
個人の感想です:A-。『銀鉄』読書会の参考本。表題通りに『銀鉄』にゆかりの地を実際に踏んで、書いた解説書。著者はジョバンニの住む街の略図を考案したり、「銀鉄」の列車内でジョバンニたちはどういう並びで座っていたのかを推理して絵に描いている。このことでストーリーへの理解がまた一つ深まった。鳥捕りがつかまえる鳥がなぜお菓子になるのか、ジョバンニの切符に印刷されていた「をかしな十ばかりの字」とは何だったのか、とても興味深い考察で、賢治の法華経への帰依の深さなどへの理解も進み、『銀鉄』の大胆な解釈はとても興味深い2023/09/15
サルビア
8
青森に行く前に読もうと思って図書館で借りました。著者は科学ジャーナリストなだけあって銀河鉄道の夜の中の星座の事や賢治が農民のために土壌改良などを教えていた事など多岐にわたって詳しく書かれていました。また鏡の国のアリスから着想を得たりしたところや、タイタニック号の沈没のニュースをを見てお話の中にその事を入れたりしたものなど大変参考になりました。次に岩手に行く時にこの本で知った事を思い出して擦り合わせてみたいです。そうすれば銀河鉄道の夜の物語をより深く理解出来そうです。2025/05/01
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇵🇸🇾🇪🇱🇧🇨🇺
7
2013年著。科学ジャーナリストの著者が実際に『銀河鉄道の夜』にまつわる舞台を訪れて作品について解説した本。登場する人物や施設や賢治の生涯について分かりやすく書かれている。写真や図もあり銀河鉄道の座席や軌道、街の想像図が分かるようになっている。本書での重要な点は、第3次稿と第4次稿の違いとその解釈で、何故ブルカニロ博士が消えたのかについて興味深い説を展開している。まさかそんな解釈がって、『BAROQUE』みたいだ。他、「天気輪の柱」は「天頂儀」だとしている。やはり近代文学は旧字旧仮名で読みたい…全集か。2021/09/09