内容説明
グローバリゼーションが進展し、ネオリベラルな統治がますます拡大している世界で、守られるべき多くの人たちが切り捨てられている。既存の民主主義や制度が抱える矛盾とそれがもたらす不正義に対して、私たちは声をあげなければならない。ポスト・グローバリゼーションが招来する世界の現状を分析し、あるべき民主主義を模索する壮大かつラディカルな新しい世界への展望。
目次
序 メタ・ヒストリーの政治―人民主権のトランスナショナル化との関連で
1 統治性をめぐる“支配/抵抗”
2 グローバル・ジャスティス/ポリティクス
3 交差的抑圧とそれに対する抵抗
4 安全保障装置とデモクラシー
跋 グローバル・ジャスティスを前景化させるラディカル・デクモラシー―新たな“生成変化”の政治へ
著者等紹介
土佐弘之[トサヒロユキ]
1959年、東京都生まれ。専門は、国際関係論、政治社会学。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。現在、神戸大学大学院国際協力研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
健康平和研究所
1
世界の統治、貿易、金融、人権、ジェンダー、エイズ、安全保障などについて勉強になる2019/07/18
sayan
1
Barry Buzanを中心に「societal security(社会的安全保障、良く社会保障と混同されるケースが多いが、別物)では、identityがキーになる。p.140~第3章、境界によって守ろうとしているもの - 自由か安全か - で「境界・秩序・identity」というトリアーデで構成される政治共同体に関する議論で、「このトリアーデは決して安定的なものではなく、三者は互いに影響を与えながら常に『変化』の過程にある」は、昨今の難民受入等から議論される社会的安全保障を理解するに非常に興味深い指摘。2016/01/05
sayan
0
三位一体のところ再読(感想は後ほど)2015/05/12
sayan
0
p.152…表象アートによる一連の試みは、異質な他者を抹殺する形で均質化しようとする現状の秩序維持の政治、ランシエールの言う「ポリス」に対して意義を申し立てる形で揺さぶりをかけ、「感性的なものの分割=共有の再配置」を推し進める一定の役割を果たしている。2015/02/12
sayan
0
p.116権力構造を温存したまま人権ギャップを性急に埋める試みは単にレトリックではなく人権ギャップを埋めようとするポーズが逆に劣位に置かれている者をさらに安全保障政策の対象へ(移民・難民問題の安全保障問題化)更には法の外(例外状態)にあるホモ・サルケに近い地へと引き下げる。それは人間の安全保障や人道的介入のさらなる軍事化p.125人権の問題が田y差の権利(他者によって領有された人権問題)」となる過程は人権問題が人道問題へ移行し犠牲者を生み出す悪を殲滅し犠牲者を救出→救世主-絶対悪-犠牲者人権と人道の不明化2014/07/19