内容説明
急激な気候変動を背景とする人新世の政治では、もはや人間中心主義は限界を迎えている。地球温暖化、ポピュリズムの台頭、資本主義による格差拡大…。これらはすべて繋がっているのか。現代思想を導き手に、国際政治の最前線に迫る迫真の論攷。
目次
序論 ポスト・ヒューマニティをめぐる政治―種を超える/類を分割する
第1部 人間中心主義の隘路(人新世/資本新世の政治;動物論的転回の倫理と政治;食のポリティカル・エコノミー;制御不能のハイブリッド・モンスターという問題―3.11再考)
第2部 反ヒューマニズム(差別主義)の政治(負債の生政治;地政学的言説のバックラッシュ;システム危機の表象としてのスペクター(右翼ポピュリズム)
ポスト世俗化時代のジェンダー・ポリティクス)
著者等紹介
土佐弘之[トサヒロユキ]
1959年、東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。現在、神戸大学大学院国際協力研究科教授。専門は国際関係論・政治社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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endormeuse
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ポスト・ヒューマニズムを①思想的・政治的人間中心主義のアップデートとしての「批判的ポスト・ヒューマニズム」と②ネオリベラルガバナンスへのバックラッシュとして生じた、種を分断する思想としての「ネガティヴなポスト・ヒューマニズム」と整理。OOOやディープ・エコロジーといったラディカルな脱人間中心主義やアニミズム的コスモロジーへの素朴な回帰に対しては慎重に距離を保ちつつ、気候変動の破局的局面と、それを背後から駆動しているグローバル資本主義の力学を分析すべきとする資本新世的な視角を強調する。2020/02/08