内容説明
あらゆる人間的なものに激怒する「天使」たちと、望みなく敗走する敗走者たち、社会に内属できず“外”に生きる者たちのコンパッション。イーストウッドの「陥没」、タランティーノの「絶望」、大岡昇平の「敗北」、フーコーの「肉」と「真理」…世界とその崩壊の緩衝地帯に世界を生成する線を引き続ける作家たちの営みを闘いとして肯定し、新たな「生」として轟かせる闘争宣言。長篇書き下ろし論考収録。
目次
敗走者の生と真理―大岡昇平をめぐって
名付けと視線の錯乱―『歩哨の眼について』の分裂
スカー・フェイスの眼光―吉田健一に於ける詩と批評と非物質的なるもの
クリント・イーストウッドは、自由と真理と残酷の映画作家である
死ねない絶望と超薄な「この世界」―クエンティン・タランティーノをめぐって
鏡の魔、或いは砂浜の上の痕跡―en mode sans fin…
著者等紹介
丹生谷貴志[ニブヤタカシ]
1954年生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科西洋美術史修了。現在、神戸市外国語大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ndj.
5
「敗走者の生と真理─大岡昇平をめぐって」は、読了直後真夜中にもかかわらずにぶちんすげえええ!と叫んでしまったほど。いつもながらあまりにも美しく繊細な文芸アクロバットである。三点リーダーと突如挟まれる疑問符はもはや芸術品の域ではなかろうか。やっぱり好きだ…大好きだ…。 2016/01/23
EnJoeToh
4
「鏡の魔、あるいは砂上の痕跡」なるものが。2011/09/28
よっしー
1
書き下ろしは難解な表現が抑えられて、新書並みにわかりやすく、目から鱗、鱗、鱗。大岡昇平論の精密かつ鋭敏な読解に心揺さぶられる。吉田健一とクリント・イーストウッド論も好き好き好き。2012/01/01
鳳凰院凶真
0
大岡昇平論わかりやすく面白い。2012/07/11
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