内容説明
脱亜入欧・和魂洋才の近代化プロセスで、日本人は何を得、何を失ったのか―。戦争責任・人種差別・文化的アイデンティティーなどを、日本の歴史認識の特性を踏まえ、中国・台湾・朝鮮から、米・独・仏・アフリカ諸国の様態と比較考察し、日本の現在を大胆に問い直す。文化人類学の第一人者、畢生のフィールドワーク。
目次
幼時の音の年代記から
「この悲劇的な罪障消滅」
台湾で考える
台湾に学ぶ
「歴史」の記憶、だが誰にとっての?
原住民または先住民をめぐって
いま、「脱亜論」を読む
脱「脱亜論」へ
国家を見据え、だが国家を超えて
「天安門」にこだわる〔ほか〕
著者等紹介
川田順造[カワダジュンゾウ]
1934年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科(文化人類学分科)卒業、パリ第5大学民族学博士。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授、広島市立大学国際学部教授、神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科教授などを経て、神奈川大学特別招聘教授、神奈川大学日本常民文化研究所客員研究員。主な著書に、『曠野から―アフリカで考える』(筑摩書房、日本エッセイスト・クラブ賞)『無文字社会の歴史』(岩波書店、渋沢敬三賞)、『聲』(筑摩書房、歴程賞)、『口頭伝承論』(河出書房新社、毎日出版文化賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
20
B29の空襲でラジオから『神風節』を聞いたときは日本もダメだなと子ども心に思ったという(23頁)。Nationの語源は地域間組織 で同郷者集団を用いた生まれを同じくする者のラテン語(39頁)。台湾電力は国営で、放射性廃棄物を’82年以来南の離島に 捨て続けてきた(53頁)。日本の原発だけではない。面積の狭いところだから余計に置き場に困っていたようだ。スペンサー『第一 原理』、タイラー『未開文化』、モルガン『古代社会』は社会進化論として明治日本に影響(90頁)。 2015/04/10
カネコ
2
◎2012/07/19
メルセ・ひすい
1
14ー57赤61現在・米国の不沈空母日本。滅亡の先鋒シナリオが…勝先生のお言葉が耳に痛い…負ける戦争は絶対するな!★吉田松陰の「幽囚録」・福沢諭吉の「脱亜論」。⇒アジアを見下しそして膨張主義に⇒太平洋戦争への神の国日本の破滅。そして、基督教西欧の植民地主義とアフリカ。靖國神社とは。ナチとは、現代社会はグローバル化の呪縛により加害者、被害者、犠牲者が目まぐるしく錯綜する。脱亜入欧・和魂洋才の近代化プロセスで、日本国家の得失分析とは。戦争責任・人種差別・文化的アイデンティティを文化人類学的考察(^0^2011/02/06
生きることが苦手なフレンズ
0
序盤1,2章あたりの、自伝的な部分はともかく、ナチスや靖国について述べた部分は、高橋さんの議論とはまた違った「犠牲」論として読み、面白く読めました。一部の議論や、著者の意見は、何となく、古い気がしましたが、全体として、特に気になる、ってほどではないです。2012/12/26
イカ
0
墨塗り体験者の視点は、戦勝国(加害国)に対する怒りや、自国の軍部に対する非難で済ませてしまっていいのかと問う。右派は、戦勝国の不当な裁きに対して怒るだけ。左派は、自国の軍部を非難するだけ。 だから「二年たらず前に戦犯を処刑したマッカーサーの指令で、自衛隊の前身警察予備隊」が創設されたとき、「日本人は罪障消滅を実感し、「あ、これでいいんだ」と思ったのではあるまいか」(32)。右派は押し付け憲法を否定するが押し付け軍隊=自衛隊は否定しない。左派は平和憲法を尊重するが平和のための軍隊は認めない。2018/08/24