内容説明
選挙で候補者が3人以上いると、ときに、多くの人が望んでいなかった、とんでもない候補が選ばれることがある。真に民主的な投票は論理的に不可能―ノーベル賞受賞者アローの「不可能性定理」を覆す道はないのか。ゲーム理論、社会的選択理論などの知見を総動員し、アメリカ史上の突飛な投票結果を実例に、様々な投票方法の驚くべき落とし穴を明快に解説したうえ、投票者を最も満足させる意外な方法にたどりつく、知と論理の極上エンタテインメント。
目次
プロローグ 魔法使いとトカゲ
1 問題(ゲーム理論;ビッグ・バン ほか)
2 解(キリバスのトラブル;新しい鐘楼 ほか)
3 現実(民主主義の未来の姿;ブルーマン大当たり)
著者等紹介
パウンドストーン,ウィリアム[パウンドストーン,ウィリアム][Poundstone,William]
MITで物理学を学ぶ。物理学と情報理論を専門とする。ロサンジェルス在住
篠儀直子[シノギナオコ]
名古屋大学大学院(西洋史学)・東京大学大学院(表象文化論)を満期退学後、東京大学などで非常勤講師。演劇・映画を中心に翻訳・評論を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫丸
12
さまざまな選挙制度を比較し、ベストなアルゴリズムの提案に及ぶ。現行の相対多数投票は主要な選挙制度のうち最悪のものだ。計算機を適用したシミュレーションで最も高い満足度を得たのは範囲投票(range voting)、すなわち候補者全員に得点を割り振る方法であるという。ならば即座にこの制度を採用すればよいのだが、数学を根拠とする提言は(とくにアメリカでは)激しい抵抗に遭う。やはり社会の漸進を阻害するものは、無知だ。本書も売り上げを考慮して数式は載せていない。もっと抽象的にわかりやすく書いてほしい。2018/12/31
遊々亭おさる
2
今月の中旬に衆議院選挙が行われますが、度々ワイドショーなどで取り上げられ問題視される死に票の問題も選挙の不公平さを表すひとつの事例といえるでしょうか。公平なはずの選挙がなぜ、不公平な結果を生むのかをアメリカでの実例を用いて解説してある本書ですが、アメリカの政治史などに疎い僕には正直、うんざりだったりする部分もありますが、まあ今度の選挙で意外な人が当選されたら、その裏にあるからくりを邪推するのも面白いかも。2012/12/12
takao
1
ふむ2023/10/23
YayoiM
1
最高にスリリングで面白い!アメリカの選挙制度(投票システム)の欠陥を、あらゆるトンデモな結果に終わった(終わりそうになった)実際の選挙を題材に、快刀乱麻で「公正な選挙」は存在しないことを証明する。数学が得意な人は、こんな数学の用い方があるんだ!と知的興奮を味わうのではないかしら?現代政治に興味がある人には必読書であろう。2013/08/07
kozawa
1
選挙で意外な結果が出てくるような過去の歴史などを紹介した後、一人一票以外の色々な投票制度検討の歴史をつまみ食い。これで頭の体操もよろしいかな、と。戦略的投票に関してはゲーム理論が関連する一つだと書かれている通りで、その辺はその辺で別途読むとまた面白いかと。まぁでも「読み物」かな。。。2012/12/15
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