出版社内容情報
本書は、今回のリハビリ診療報酬改定反対運動の先頭に立った著者の発言・寄稿をまとめたものである。
内容説明
世界的な免疫学者である著者は、脳梗塞を患って以来、リハビリによって障害と闘いながら、かろうじて執筆活動を続けてきた。ところが二〇〇六年四月、厚労省の保険診療報酬改定によってリハビリ打ち切りという思わぬ事態が生じた。現場の実態を無視した医療費削減政策の暴走、弱者切り捨ての失政に怒った著者は、新聞への投書を皮切りに立ち上がった―。本書は一年余にわたる執筆・発言をまとめた闘争の記録であり、病床と車椅子の上から発せられた“命の叫び”である。
目次
1 診療報酬決定―リハビリ中止は死の宣告
2 小泉医療改革の実態―リハビリ患者見殺しは酷い
3 四四万人の署名を厚労省に提出したときの声明文(六月三〇日)
4 リハビリ医療―国は四四万人の叫びを聴け
5 鶴見和子さんとリハビリ
6 患者から見たリハビリテーション医学の理念
7 メッセージ(一〇月二六日、リハビリ日数制限の実害告発と緊急改善を求める集会)
8 コスト削減のためのリハビリ打ち切りは「弱者は死ね」と言うに等しい
9 リハビリ制限は、平和な社会の否定である
10 リハビリ制度・事実誤認に基づいた厚労省の反論
11 リハビリ打ち切り問題と医の倫理
12 ここまでやるのか厚労省―リハビリ患者を欺く制度改悪の狙いは何か
著者等紹介
多田富雄[タダトミオ]
1934年茨城県生まれ。千葉大学医学部卒業。コロラド大学留学。74年千葉大学教授、77年東京大学教授を歴任。免疫学の世界的権威。元・国際免疫学会連合会会長。71年に「サプレッサーT細胞」の発見を国際免疫学会で発表、国際的に注目を浴びた。この業績によって野口英世記念医学賞、エミール・フォン・ベーリング賞、朝日賞ほか、内外の受賞多数。84年、文化功労賞。能にも造詣が深く、脳死をテーマとした「無明の井」、朝鮮人強制連行の問題を扱った「望恨歌」、アインシュタインの相対性原理を主題にした「一石仙人」など新作能の作者としても知られる。2001年に脳梗塞を患い左半身麻痺と嚥下・発声障害を抱えながら、執筆活動に取り組んできた。また、2006年リハビリ診療報酬改定の撤回を求める運動に立ち上がり、厚生労働省および政府への批判と提言を精力的に執筆・発表。著書『わたしのリハビリ闘争―最弱者の生存権は守られたか』はそれらの文章をまとめたものである(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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