内容説明
美しい景観そして快適な建築とは、具体的には如何なるものか。メトロポリスに奔流する資本の論理と欲望が、ありうべきランドスケープを混乱させ歪めてはいないか。変貌著しい都市空間に理想的建築の数々を求め遍歴する。東京・横浜の過去現在を往還しつつの街歩き・建物ウォッチング。
目次
1部 TOKYO(トーキョー・ランドスケープ―丹下健三のあとに;北山恒、あるいは状況と伴走すること ほか)
2章 日付のあるスナップショット(小津安二郎の『早春』は、きょうの昼も続いている―丸の内八重洲ビル;あの頃、表参道には、まだ歩道橋が一本もなかった―勇駒荘 ほか)
intermezzo 服部良一の「銀座」(『銀座カンカン娘』;相馬アパートへ ほか)
3部 YOKOHAMA(風景から遠く離れて―横浜、二〇〇四;獅子文六の「横浜」)
著者等紹介
梅本洋一[ウメモトヨウイチ]
1953年、横浜生まれ。パリ第8大学芸術学科博士課程修了。横浜国立大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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センケイ (線形)
2
かつての東京横浜の光景が言葉巧みに描かれ、図版の多くが現代にもかかわらず、昔の情景が目に浮かぶようである。エッセイ的な文体ではあるが、媒体としての建築の意義や、個々の地域の系譜とその課題が、考察とともに浮き彫りになる。国家事業やバブルも換算すれば東京は四度にわたり破壊されているという。必ずしも懐古的な態度をとらずとも、かつては足並みそろって一貫性のあった区画が失われたのだという問題意識は記憶に強く残る。なお、「読む」というだけあって文学や映画の作家達との相互作用も随所に埋め込まれ、街の肌感覚を彩っている。2018/05/31
sherbets
1
辛辣なれど、読み応えある、東京横浜の建築に専門の映画話が絡まってて楽しい。消えた景色でも残滓を見に行きたくなった2013/10/14