内容説明
1848年二月革命から1871年パリ・コミューンへ。“近代”を創ったとされる「断絶」の神話。この「断絶」がどのような「連続」のなかで実現したかを、経済、社会、地理、都市計画、文学、芸術などあらゆる分野の文献を渉猟しつつ検証。豊富な図版を駆使し、詳細かつ壮大なヴィジョンを提示する。ポスト・モダン社会科学、都市論の第一人者がついに完成させた決定版モノグラフィ。
目次
断絶としてのモダニティ
1 表象 パリ 一八三〇‐一八四八(モダニティの神話―バルザックのパリ;政治的身体(身体政治)を夢見て―革命的政治とユートピアの企図 一八三〇‐一八四八年)
2 物質化 パリ 一八四八‐一八七〇(空間関係の編成;貨幣、信用、金融;地代と地主階級 ほか)
3 コーダ(サクレ=クールのバシリカの建設)
著者等紹介
ハーヴェイ,デヴィッド[ハーヴェイ,デヴィッド][Harvey,David]
1935年、イギリス生まれの社会経済地理学者。オクスフォード大学、ジョンズ・ホプキンズ大学などを経て、現在、ニューヨーク市立大学グラデュエイト・センター、ロンドン・スクール・オヴ・エコノミクスで教鞭をとる
大城直樹[オオシロナオキ]
1955年生まれ。神戸大学文学部助教授。文化地理学
遠城明雄[オンジョウアキオ]
1962年生まれ。九州大学大学院人文科学研究院助教授。人文地理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takao
2
ふむ2022/07/09
roughfractus02
0
ベンヤミンが欲望に動かされてモダンの夢の中を彷徨う人々の「今ここ」(Jetztzeit)を街路に見出したパリを、著者は歴史と連続性を成す諸領域が独自の断絶を作りつつ織りなす「歴史的現在」として描き出す。欲望の地理として都市を描くバルザックに始まり、宗教と理念が葛藤するモンマルトルのサクレ・レール寺院で終わる本書は、パリがテクノロジーによって自己増殖機械となった資本の象徴エッフェル塔に見下ろされる点を強調する。一方、経済に包摂されて成長する都市も均質でありえず、様々な不均衡を作って別の何かに変容しつつある。2017/02/13
ネオジム坊
0
科学と時代背景、そのことが気になり、指導教官(建築史の先生)から勧められた。主に序章と14・15章を読む。科学的思考の背景にキリスト教的思考があるのでは?との仮説のもと、読み進めたが確証は得られなかった。ただ本著で示唆される経済の発展・パリ大改造計画などが可能となった背景として、二月革命(1848年)以後の「目に見える社会の変化」があり、実証的資本主義体制は「自然」だと、オスマン男爵らが推進したようだ。そこには「循環」「新陳代謝」の生物学的メタファーがあり…1960年代の日本モダニズムを想い起こさせた。2012/04/20
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