内容説明
真実らしさを標榜する社会と文化のまやかし=神話をラディカルに問う一方で、言語活動の快楽への深い洞察を作品へと結晶化させたロラン・バルト。現代批評理論の震源となった驚異的に多彩な思考への周到な、初の総合的入門。
目次
第1章 エクリチュールと文学
第2章 批評的距離
第3章 記号学
第4章 構造主義
第5章 作者の死
第6章 テクスチュアリティ
第7章 中性のエクリチュール―快楽、暴力、ロマネスク
第8章 音楽と写真
第9章 『明るい部屋』―不可能なテクスト
著者等紹介
アレン,グレアム[アレン,グレアム][Allen,Graham]
コーク・カレッジ大学英語学上級講師
原宏之[ハラヒロユキ]
1969年生まれ。パリ第10大学(ナンテール)人文学科群博士課程中退。明治学院大学教養教育センター助教授。専攻は表象メディア論(言語態分析、映像・文化研究)および比較思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NICK
2
ロラン・バルトについては、「零度のエクリチュール」「作者の死」や「テクストの快楽」くらいしかしらなくて、文学畑の人かと思っていたが、社会学や写真論、映画論その他さまざまな分野に批評的活動をしていた。バルトの視線は記号を通してあらゆる場を見ていたということか。個人的には、革命的エクリチュールもいずれはブルジョワ文化に吸収され陳腐化してしまうことや、デノテーション、コノテーションの構造あたりを興味深く思った。バルトの受けるということは、エクリチュールの実践によってバルトの影響を破ることらしい。……難題である。2011/06/10
左手爆弾
1
ロラン・バルトの思想全般を取り扱ってくれる、便利な一冊。バルト自身が使う言語学やデリダの用語なども随時別枠で解説。わかりやすいかそうでないかといえば、決してわかりやすくはない。だが、それはもともとわかりやすくは書かれていないからであろう。実際にバルトの著作を読んだことがあれば、ある程度ついてはいける。だが、読んだことない本についての解説は、正直理解できなかった。バルト自身の著作を何冊か読んでから、読むべきなのかもしれない。2014/06/23
まろ
1
おお、わかりやすい入門書だった。でも後期の著作を読んだ事がなかったために、そこはもう少し勉強する必要ありだな。2013/10/28
tieckP(ティークP)
1
バルトは、デヴィッド・ボウイに似ている。本人が変わり続けることで、その時代における批判精神、あるいはロックを体現していた。彼らは、自分の表現が文化として受け入れられた瞬間に、もう価値を喪失することを知っていたが、絶望する代わりに、常に逃れ続けるという行為で対抗した。だから、バルトのやり方自体を模倣してもしょうがないし、彼の批評を時代性から切り離して捉えても仕方がない。むしろ、バルト的に生き続け死ぬことが(彼が天才であるにせよ)可能だという実例として捉えたとき、君のエクリチュールもバルト性を帯びるだろう。2012/04/27
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