内容説明
主体・人格・精神の調和を破壊し、思考を粉砕、感覚を解き放ち、新たな情動と概念を創造する真の哲学者ドゥルーズ。20世紀思想で最も解放的で、生を変革させる思想家の核心部へと一挙にいざなう、最高の案内書。生の問いかける力を捕らえる新しい哲学へ。「内在性」の思考。
目次
第1章 思考の力―哲学、芸術、科学
第2章 映画―知覚、時間、生成
第3章 機械、時宜を得ていないもの、脱領土化
第4章 超越論的経験論
第5章 欲望、イデオロギー、シミュラークル
第6章 マイナー文学―永劫回帰の力
第7章 生成変化
著者等紹介
コールブルック,クレア[コールブルック,クレア][Colebrook,Claire]
エジンバラ大学で英文学を教える
國分功一郎[コクブンコウイチロウ]
1974年生まれ。現在、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻在籍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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白義
5
ドゥルーズの思想全般、そしてその使い方まで、丁寧さの点で最高の入門書。本人の著作を読むために一冊、というならこれを勧める。ドゥルーズのイデオロギー観、倫理、映画論や文学論に哲学まで、ほぼ漏れがなく、翻訳も素晴らしい。このシリーズは外れがないけど、特に難解な思想家のいい入門書がたくさんあるのがありがたい。特に四章は大助かり。硬直的な存在の序列を想定しない、生成の超越論的経験論、って書いたら分かりにくいが本書を読んだらだいたいわかる。オススメ2011/10/10
伊野
3
一般的には、経験は常に主体に対して与えられるものであるが、ドゥルーズによれば、主体とは超越性の一つの形態に過ぎないとされる。主体が先立たない、不安定な概念。また、生成変化は主体が為す経験(変化)ではなく、行動や知覚や変容が先ず存在し、そこから存在を知覚するという流れがあるという。生成変化については、欲望のベクトルがあり、またその強度がグラデーションを形成するという印象があった。2024/12/18
はすのこ
3
同じ國分功一郎ならば、原理の方が分かりやすいかな。2016/12/24
Ecriture
3
ずーっと前に読んだ。4年位前かな。青土社のこのシリーズは学部生への入門用に書かれていて、入門本としてはとても高い完成度に仕上がっている。薄い新書で出ているやつを買うよりは断然こっちを買ったほうがいい。どれもオススメでシリーズ全て購入しても損はないと思う。
伊野
2
概念を創造するのが哲学と考えるドゥルーズは、独自の考え方で難解な著作ばかり書いているのかと思っていたが、そうではなく、正規の研究の仕方で先人の哲学書を読解していくなかで「差異」や「生成変化」などの概念が生じたのだという。各項に要約があるのは助かる。訳者あとがきが分かりやすい。2017/10/25