内容説明
ナグ・ハマディから出土した世紀の発見、グノーシス諸福音書はなぜ異端とされ禁圧されねばならなかったのか。異端か正統かという二元論をこえ、多様な魂の探求を擁護する世界を求めて、著者自らの切実な体験と最新の研究成果から示される、宗教と信仰の根源。
目次
1章 主の晩餐からニカイア信経まで
2章 対立する福音書―『ヨハネ』と『トマス』
3章 神の言葉か、人の言葉か
4章 真理の規範とヨハネの勝利
5章 コンスタンティヌスとカトリック教会
著者等紹介
ペイゲルス,エレーヌ[ペイゲルス,エレーヌ][Pagels,Elaine]
オクスフォード大学とハーヴァード大学で初期キリスト教史を学び、ハーヴァード大学にて博士号を取得。プリンストン大学宗教学部教授。『ナグ・ハマディ写本:初期キリスト教の正統と異端』(邦訳、白水社)で全米図書賞・全米図書批評家賞受賞
松田和也[マツダカズヤ]
翻訳家
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感想・レビュー
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松本直哉
27
死病に冒された幼い子の看病の翌朝教会を訪れる著者の体験を語る冒頭は聖書学の本にしては異例だがここに著者の強い思いを読んだ。宗教に存在理由があるとすれば、固定した教義で縛り多様な思想を異端と断ずるためではなく、悩み迷う個々の人に光が射し霊的に目覚めるため。イエス死後数世紀の間多くの福音書が異なるイエス像を提示した中から四つを選び、ヨハネ伝に特に高い地位を与える過程はまさにその固定化だった。いつの日か発見され読まれることをひそかに望みながらエジプトの洞窟に異端とされた文書を埋めた人物の孤独な信仰が心を揺さぶる2019/07/01
こぽぞう☆
12
ナグ・ハマディ写本関連、探しに探して、メルカリでGET。ナグ・ハマディ写本の内容をロビンソン教授だったかな?が発行した本読みたいんだけど。。。とりあえずこの本で概要は分かったが。ナグ・ハマディ写本の中身よりも、初期キリスト教史そのものを扱っていた。2020/02/05
mk
3
1~4世紀のキリスト教は、弾圧される新興宗教であり、分派や各教会によってきわめて多様な思想をもっていた。しかし、弾圧に対抗してキリスト教団の共同体としての力を強めるために、「唯一正しい教義」が定められることになり、各人が自分の経験を通じて神を霊的に見出そうとする思想は、キリスト教から排除された。だが、そのような神の探求こそ私たちに必要なものではないか、と著者は自らの経験を交えつつ、控えめに語る。◆信仰を求める人の心と、宗教が社会の一部としてどうしても変えられてしまうことを、重要な実例で知ることができた。2012/04/20
加納恭史
2
エジプトで発掘されたナグハマディ文書より隠された福音書が出てきました。四福音書とはかなり違う部分もあるのです。エレーヌ・ペイゲルスは宗教の歴史家であり、その洞察は大変に素晴らしいのです。カトリックの定めた教皇だの司祭などの身分制度はなかったのです。初期キリスト教徒の様子も少しずつ分かるようになりました。 更に、「トマス福音書」とか「マグダラのマリヤの福音書」も出てきました。本当に驚きに耐えまん、2021/08/24
sgnfth
0
内容自体はあまりそそられなかったけれど、自分が教会に通う理由を語っているところは興味深かった2009/10/24