国家と祭祀―国家神道の現在

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  • サイズ B6判/ページ数 221p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784791761319
  • NDC分類 175.1
  • Cコード C0010

内容説明

誰が死者を祀るのか。国家は祀ってはならない―“靖国”の源流を求めて「水戸学」の政治神学を精査、国民国家成立における宗教の役割をアジア大の視野で考察する。日本思想史学の第一人者がその使命を賭けて国家神道をめぐる言説の抗争に参入する。

目次

第1章 国家神道の現在
第2章 再帰する始源の呪縛―伊勢神宮の現在
第3章 沈黙する鬼神と生者の饒舌―靖国の現在
第4章 「天祖」概念の再構築―『新論』と危機の政治神学・その一
第5章 祭祀的国家の理念―『新論』と危機の政治神学・その二
第6章 近代国家形成と宗教―世俗主義的近代化と宗教ナショナリズム
第7章 二つの世俗的国家の間―国家神道の生起する場
第8章 「国家神道」という遺産―近代神社神道史の言説
第9章 神道と近代宗教学―神道は国民的宗教なり
第10章 戦う国家と祀る国家―国家の連続性と祀り

著者等紹介

子安宣邦[コヤスノブクニ]
思想史・文化理論。1933年川崎生まれ。東京大学文学部卒業、東京大学大学院博士課程(倫理学)修了。横浜国立大学助教授、大阪大学教授、筑波女子大学教授を歴任。日本思想史学会元会長。大阪大学名誉教授
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感想・レビュー

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いとう・しんご

9
「近代日本の国家と浄土真宗」きっかけ。神道を戦前の地位に復活させようとする主張に対する反駁から始まり、靖国における英霊崇拝に「祭祀する国家を語り出す言説とは民に死に場所を与えていく言説でもある」P68と静かな怒りを表明し、国体と天皇を一致させる思想が幕末の水戸学に由来することを解き明かした後、「日本人は(略)必然的に神道の信者であらねばならない」P178とする大正期の神道学者を紹介し、「葬られねばならないのは神社神道人に持ち続けられている国家への欲望である」P182と結論する。改憲論の本質に迫る一冊。2024/08/25

kenitirokikuti

7
図書館にて。2004年7月30日刊行。初出は『現代思想』2003年7月号から04年4月号。ちょうど大学を定年退職した直後の連載だそうな。まもなく戦後60周年を迎える頃合いであり、当時の小泉純一郎総理が靖国神社に参拝を続けていたときである▲本書の内容ではないが、日本思想史学会元会長の著者は、思想史に思想の問題を取り戻すため、方法論として伝記的な記述、思想の生成史を取らなかったそうな。岩波新書の『本居宣長』が伝記的な記述が欠けていたのはそのためか。2021/07/04

きさらぎ

4
『現代思想』に2003年7月~2004年4月にわたり連載された、国家神道と靖国をテーマとする一連の論文をまとめたもの。雑誌連載という事情もあってか中々にネタが多く、やや結論を急ぎすぎる感があって、面白い、勉強になる、抵抗を覚える、など色々な感情が動くのが自分でも面白い。あと私などは著者の伊藤仁斎に関する書を読んできたので、時事に触れた部分などは結構物珍しかった。私は徂徠学と水戸学・会沢の新論について、明治時代の神道家による国家祭祀としての神道の主張、「政教分離」「祭教分離」のロジック辺りを興味深く読んだ。2016/10/03

きさらぎ

2
著者の『仁斎論語』が仁斎論語であり「子安論語」だと感じたが、それは多分「士大夫の学としての朱子学に対し日常卑近な道としての仁斎学」を、また「徂徠の政治的思惟に対し仁斎の道徳的思惟」を「私は選んだ」とする氏の選択的姿勢が本書にはっきり見えるからだろう。で、氏の国家に対する姿勢が明確に出ている本があったな、と確認に再読してみた次第。敗戦時小学生であったという氏のそれ自体が信仰であり宗教であるといえる非戦-不戦論、徂徠学や水戸学への見方を「評価する」必要は私にはない。併読して氏の思考構造が確認出来れば十分だ。2018/05/19

えふぇくたー

1
首相の靖國参拝だけでなく伊勢参拝にも青筋が立ってしまう著者の神道と国家論。難しいこと言ってないはずなのに晦渋で、結論のはっきりしない論題が多く、肝心なところは著者の思い込みで議論を立てているようにしか見えない。また祭祀と国家の分離を現実政治の生臭い話も入れながら長々話すのに、憲法第一条の改憲という論題にはなぜか突っ込まない。著者の宣長の本とかはそれなりに面白かったのに、この本に感じるのは前世紀の凡百の左派系言論と同じ既視感。神道の跳ねっ返りを批判したいのはわかったが、もう少し冷静に、論理的にやってほしい。2018/02/22

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