内容説明
チェコ・モダニズムの一時代を築いたカレル・チャペック初の本格的評伝。
目次
チェコ文学における三巨人
お母さんっ子
造形芸術家か作家か
文明的楽天主義の壊滅
二束の藁か一本一本の藁か
館から編集室へ
内気な少年、盗賊となる
オルガ―秘密の恋
近代文明の終焉についての第一レポート―『ロボット』(R.U.R.)
文明終末の第二レポート―『絶対子工場』〔ほか〕
著者等紹介
クリーマ,イヴァン[クリーマ,イヴァン][Kl´ima,Ivan]
チェコの国民的作家。1931年生まれ。1989年、自由化後の初代チェコ・ペンクラブ会長となる。2002年、「フランツ・カフカ賞」受賞
田才益夫[タサイマスオ]
演出家。1933年生まれ、九州大学卒。1986年、文化庁芸術家在外研究員としてプラハ国立劇場で研修
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感想・レビュー
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柳瀬敬二
3
チェコ語作家としてはおそらく彼の右に出るものはいないだろう(カフカもプラハに住んでいたが彼はドイツ語で書いている)。この評論では、チャペックの長編小説を軸に彼の人となりや民主主義的性格を明らかにしようとしている。現実を歪曲した単純な「真理」を盲信し異端者を排除しようとする人々を、彼はどの作品でも相対性を示すことによって常に糾弾し続けていた。日本ではどちらかというと児童文学作家のイメージだと思うが、周辺諸国がファシズムに傾倒していく中でもチャペックは民主主義を信じ続けて、民主主義と共に舞台から去った。2018/09/08
tekesuta
0
カレルの死の間際、デモクラシーを体現したような彼がスケープゴートにされて数々の誹謗中傷が行われたというくだりには涙が出そうになった。全体主義的思想はいやだねえ。 2012/04/15
nukuteomika
0
作品と彼の人生がダイレクトに結びついていて怖い2010/03/11