内容説明
穴掘りのプレーリードッグ、植物を育てる菌類のネットワーク、地下数千メートルに息づく不思議な微生物集団…知られざる地中生物たちの奇妙きてれつな世界を初めて紹介し、生命の起源から生態系の未来まで、地球の見方を地底から覆す。
目次
第1部 古代生命(起源;住める世界;系統樹を揺さぶる)
第2部 地球のための生命維持(窒素循環;地下の結びつき;卑小なものの偉大な意味;病原体戦争)
第3部 人的な要因(危機に瀕するプレーリードッグ;大地)
著者等紹介
ウォルフ,デヴィッド・W.[ウォルフ,デヴィッドW.][Wolfe,David W.]
コーネル大学農芸学部生態学準教授、同大学生物地質化学プログラムに参加。土壌保護と、環境変化が植物と土壌へもたらす影響を研究の焦点にする。学術論文や学会機関誌に多数発表
長野敬[ナガノケイ]
生物学者
赤松真紀[アカマツマキ]
自然科学系の翻訳に携わる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
H2A
5
古細菌など極限環境生物は最近テレビなどでも取り上げられるので知名度は上がっている。それにしても粘土遺伝子説は初耳で目から鱗だし、植物と細菌の共生、地下生物による窒素固定などは知っていていても想像と興味をかき立てられる。コンパクトながら盛りだくさんで退屈しない好著。でもこの邦題にはちょっとキワモノ的な印象を受ける。2011/12/01
しんかい32
5
最近研究が進みつつある、微生物やミミズ、プレーリードッグなどの地下生命の世界を紹介する本。100℃以上の熱湯の中や酸素のない地底などの極限環境でも生きられる「古細菌」たち。近年、彼らこそがもっとも初期の姿に近い生物であり、生命発祥の地は太古の浅瀬にできた「生命のスープ」ではなく、そうした極限環境なのかも、という仮説が有力になってきてるみたい。そのほかにも、植物と地下菌類の複雑な共生関係の話なども興味深い。門外漢には地味~に感じられがちな話題の面白さを上手く伝えてくれる。2010/11/23
ハエドリ
4
古細菌を発見したカール・ウーズのエピソードに痺れた。当時誰も目を向けていないrRNAの配列をもとに進化史の探求を試みたとびぬけた発想は、本人が物理学から生物学に転向したその学識の幅の広さに由来するもの。その発想をもとに、絶え間ない地道な作業を続けてこその発見。かっこいい。 菌根菌発見はトリュフの商業化研究(失敗)の偶然の産物らしい。発見者:A・B・フランク。2017/08/28
TAKAO
2
もう少し深く掘り下げてもよかった。プレリードックの話は、知らなかった。2015/11/10
りょんりょん
2
地下に広がる小さな小さな生物たちがこんなにも地上に生きる私達に影響を与えていた事に驚かされた。あの土のいい香りを発生させていたのも、私たちの生活に欠かせない抗生物質の多くも、土壌に住む微生物から生まれているなんて想像したことも無かった。日本語訳の関係で少し読みづらい部分もあったけれど、この分野を全く知らない人でも楽しく読める内容だと思う。2014/08/10