内容説明
一輪の薔薇に封印されたイメージが、個人を時代を、そして洋の東西を超えて人類に共有される。愛と生命の寓意・象徴として咲き誇る薔薇の花園で紡がれた、全く意想外の精神史―。
目次
薔薇の聖母
薔薇を喰べた驢馬
レオナルドの庭園
薔薇園にて
美しき女庭師
花の道
菊と蓮
グロテスクの系譜(周辺の豊饒;笑う牛;花となった人間)
花と髑髏―静物画のシンボリズム
刻印された“詩”
石の花―反古典主義的空間の根源
花の復権―ウィリアム・モリスのパターン・デザイン
生きている花―残らない芸術のために
著者等紹介
若桑みどり[ワカクワミドリ]
1935年、東京生まれ。東京芸術大学美術学部芸術科卒業。イタリア政府給費留学生としてローマ大学に学ぶ。現在、川村学園女子大学教授
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感想・レビュー
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さんとのれ
5
限りなく再生を繰り返す花や樹木は豊穣のシンボルとして、形や解釈を変えながら古代からキリスト教世界へと受け継がれていった。一見正反対に見える日本庭園と幾何学的な西洋庭園も、その根本には同様のミクロコスモスがあるとみることもできる。生け花の本質の変遷に関し、芸術活動に対する日常的なかかわり方の中の不注意さというものについて考えさせられた。2015/12/21
ともゑ
3
美術作品を東西や時代で分けるのではなく描かれた花に注目して俯瞰で見てみると、込められるイメージは普遍的なものだと解る。世界や時代は分断されるものではなく連続性のあるもの。白黒ではあるものの途中には図も多く、描かれたものが意味する事の解説は謎解きのようで面白い。やや難しめかも。でもこういう本を読んで知るともっと美術鑑賞が楽しくなる気がする。2014/03/15
ヤクーツクのハチコ
2
中心と辺境、聖と俗、大地母神。個人的にはグロテスク(この本での美術用語としてのグロテスクは「グロい」のグロテスクとは違うよ)の章が面白かった。それからプロテスタント諸国で静物画が隆盛した背景とか。やっぱり描きたいとか装飾したいとかいう欲求はおさえられないんだなあ、人間て2015/11/21
わきち@肩書きは妄想家
2
やっと読み終りました。素晴らしい。なんかかしこくなった気がします。2015/08/30
Mana
1
ちょっと今一かもしれない。ある程度美術に通じていないと… 専門性が強いのかも。2011/04/15