内容説明
心理学者で米国防総省機関の所長、リックライダーのヴィジョンから、インターネットの源流「ARPAネット」が生まれるまでの波瀾万丈。新発掘の資料と関係者への直接取材により従来の単線的な歴史を覇し、全く新しい「コンピュータ開発思想史」を提唱する。
目次
第1章 人間とコンピュータ(人間‐機械混成システムとリックライダー;コンピュータと対話するということ)
第2章 ふたつの開発思想(リックライダーの「思考センター」のネットワーク構想;パーソナルなコンピュータへの道)
第3章 リックライダーと国防総省高等研究プロジェクト局情報処理技術部(ARPA創設;ふたつの開発思想対立のゆくえ)
第4章 ARPAネットの誕生
第5章 インターネット時代へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鵐窟庵
6
当時のインターネット最初期の思想である「小型分散化」vs「時間分割」による複雑なシステムの計算の安定性をどちらにするか、セキュリティを強化しながら情報をネットワーク状に共有するなど黎明期の様相が明らかになる。初めは情報はツリーで分類されていたのが、高度化複雑化とともにツリーでは成立しなくなり、相互参照のネットワークになっていったと論じられる。セーフティーとセキュリティー、人々がインターネットに期待したもの、と言った概念や史実が具体的に論じられる。インターネットと都市の発展は近い形態の複雑化を辿ると思った。2021/10/18
yuyushirai
0
筆者の博士論文ゆえ、学術的な体裁に慣れていなかった当時の自分としてはかなり読みにくかった。0から1を作った真のイノベーター達の高度に政治的、野心的な思想の変遷を丁寧に読みとった書2011/07/05