内容説明
楽園追放、聖人伝説、磔刑図、愛の魔術、転落の寓意、乳房の図像学、創造の手、癒しの手、魂と顔、葬儀用肖像…身体表現の細部に秘められた聖性の感覚を綴れ織る、目もあやなる魅惑の美術史。
目次
第1章 足(かの足を求めて;楽園追放(ジョヴァンニ・ディ・パオロ;ランブール兄弟) ほか)
第2章 背中(マグダラのマリアの背;解剖学の天使 ほか)
第3章 乳房(乳房を飾る絵;豊饒の乳房 ほか)
第4章 手(インドの使徒たち;言葉を発する手 ほか)
第5章 頭部(忘れえぬ顔;「ペトルス・クリストゥス、我を作れり」 ほか)
著者等紹介
小池寿子[コイケヒサコ]
1956年群馬県生まれ。お茶の水女子大学大学院博士課程満期退学。現在、国学院大学文学部教授。美学美術史専攻
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感想・レビュー
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午後
4
今は肖像画に興味があるので、「顔」の章を特に熱心に読んだ。葬儀用肖像、ミイラ肖像画、デスマスクについて。故人の面影を留め、生き生きと再現することを目的とした、永遠への願いの滲んだ肖像画。ヴィラール・ド・オヌクールの画帳や、「解剖学の天使」など、非常に興味深い作例がいくつも挙げられていて、調べたいことがたくさん増えた。2021/12/21
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2
屍体狩人小池寿子が見た生身の身体図像(屍体も出て来るけど)。「手」の章が特に面白かった。「言葉」としての手。デューラーの手(左手の鏡像を右手として描いている、というのに「あっ」となった。ちょっと考えてみれば右利きなら当然のことなんだけど)。この人の本が自分にとって面白いのは、絵を「読む」にあたってまず絵を「見る」ところからはじまっている、のは当然のこととしても、最後まで「見て」いる上で「読んで」いるからだと何となく思った。2012/02/18
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