内容説明
正確さの反映とされる地図は、実は国際政治あるいは男女の力関係によって歪められ、恣意的なものである。世界地図から道路マップまで、地図製作者は地図によって何を語ろうとするのか。地図に秘められた見えざる権力を掘り起こし、地図の読み方を根底から覆す―。
目次
1 権力としての地図学
2 世界と人間を地図で表す
3 社会経済問題と地図
4 政治を地図で示す諸問題
5 境界
6 政治的地図学の一側面としての戦争
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mealla0v0
0
「地図は現実の選択的表示である」。そう、三次元を二次元として表示することは、なにかを選択的に表し、別のなにかを示さないということなのだ。この「なにを表示するのか」が、仮に地形図のようなものであったとしても、政治的な、権力の関係を地図に呼び込むのだ。いや、地図に描かれるということは権力‐知によって植民地化されることですらある。ゆえに、地図はスペクタクルなショーと化す。権力を示すのにうってつけのイマージュとしての地図は、権力‐知がどこまでも知っているという証左として提示されるからである。2017/08/12