内容説明
「大いなるバビロン」とシャーロット・ブロンテが驚愕した19世紀ロンドン。新しいメディア「小説」が売れっ子作家たちを翻弄する。熱狂的なファンに毛皮のコートを切り取られたディケンズ、悲恋にくれるシャーロット・ブロンテ―。英国ヴィクトリア朝の華麗にして暗黒の側面から綴る小説出版秘話。
目次
1 低俗で安っぽい出版形態
2 貸本屋には向かないでしょう
3 父がいなくなったら私はどうなるのだろう?
4 お願いです、私にニュービーの悪口を書かせて下さい
5 最後まで恐怖を
6 我らは小説好きな国民だ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロピケ
4
ヴィクトリア朝「小説の時代」のロンドンを闊歩するディケンズ、サッカレー。小説を書き始めたシャーロット・ブロンテは、彼女にとって「バビロン」とも思える場所に、足を運ばざるを得ない。ジョージ・エリオットの「罪深い生活」にも仰天。彼らから少し遅れてトロロープやハーディが現れる。こういう流れや作家同士の繋がり、出版社の人間、批評家、読者と当時の社会を丸ごと掬い取って、読む方の興味を逸らさない。特に、サッカレーの家系が意外なところに繋がっているのに驚いた。当時の女性の立場の弱さと文学界での男の結託ぶりに腹も立った。2012/05/02