内容説明
訛り、肌の色、鼻や足の形、ヒステリー、エイズ、そして文化的創造力さえも、すべてはユダヤ人の「病気」である。西欧史を形作ってきたこの論理をさまざまな文献から摘出し、「他者」の表象を捏造することによって国民的統一を形成するメカニズムを暴くとともに、ユダヤ人・フロイトが、その表象に影響され、かつ抗いながら精神分析を創設していく過程を明らかにする。
目次
序 壁の崩壊
1 ユダヤ人の声―チキン・スープ、あるいは、あまりにユダヤ人らしく聞こえることへの処罰
2 ユダヤ人の足―ユダヤ人の身体への脚注
3 ユダヤ人の心―フロイト、ドーラ、およびヒステリーという概念
4 ユダヤ人殺人者―切り裂きジャック、人種、性別
5 ユダヤ人の天才―フロイトと創造力のユダヤ性
6 ユダヤ人の読者―ハイネを読むフロイトからフロイトを読む
7 ユダヤ人の鼻―ユダヤ人とは白人か?あるいは、鼻の整形手術の歴史
8 ユダヤの本質
9 ユダヤ人の病ドイツの悪疫―一九三九年/一九八九年
10 結論―黒すぎるユダヤ人たち、白すぎる黒人たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
路雨
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「ユダヤ人(男性)を異者とするのは、割礼なのだ。一八九七年の博士論文において、アルマン=ルイ=ジョセフ・ベローは、ユダヤ人が男児に割礼をほどこす必要があったのは、生来の非衛生的性格に加えて、「かれらの暮らす風土」が、割礼をしなければ黴毒への感染を促進するようなものだったからでもある、と述べている。ディアスポラにあるユダヤ人は時の外にあり(他の古代の人々のように消滅してゆくことを忘れている)、元来いるべき土地(割礼に必然性があった土地)にいない。彼のユダヤ性(そして彼の病)は、そのペニスに記入されている。」2025/07/05
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