内容説明
イディッシュと呼ばれる東欧ユダヤ人のあいだに語りつがれた伝承と説話。流亡の民として受難の生をしいられた人々の、珠玉のような人生の知恵と、教訓、ウィット、奇蹟、ナンセンス、魔法、ユーモアをちりばめた寓話や物語。今世紀初頭から収集され、鏤骨の努力を経て結集した、本格的な民話集。
目次
第１部 寓話選集―裸の真理とキラキラ輝くたとえほか
第２部 子供のためのお話選集―おんどりとめんどり さあ、わたしの話がはじまるよ
第３部 奇蹟譚選集―魔法の指輪、黄金の羽毛、草のやま
第４部 敬虔に訴える物語選集―正義、信仰、日常道徳ほか
第５部 ユーモラスな話―まぬけ、ウィット、いたずら
第６部 伝説―賢者、ツァディキーム、ならずもの
第７部 超自然的な物語―妖精とディブック、悪鬼とゴーレム
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れどれ
4
東欧ユダヤ文化圏から収拾された民話集。話の整合性や倫理観が、こちらが慣れ親しんだものとあまりにかけ離れていて面白い。教導者であるラビもこっちの見方からすればろくでもない奴に見えたりする。これまでもいくらかの本でユダヤの教義やら文化やらに触れてはきたがいずれも静止画的な情報で、比べると民話は動画的というか、情報が生きている。ワケワカランと思われていたものの見方がいくぶん呑み込みやすくなった。2022/07/18
遊未
4
東欧イディッシュ語圏（東欧世界ユダヤ人）の民話。ユダヤ人＝旧約聖書だったので、世界中の人々と同じように日々の暮らしがあり、類型のお話しがあることを知りました。そして、日本語で安息日というとお休みするというイメージですが、（お金のための）仕事をしないというだけではないので、食事も決まった物を予め用意しなければならないとか、いろいろ大変そうです。2015/09/07
刳森伸一
3
異なるタイプの民話を故意に集めていることもあると思うが、イディッシュの多様な民話世界には驚かされる。その中には『こぶとりじいさん』とほぼ同じ話や、プロイスラーの『クラバート』の元ネタのような民話まであって興味が尽きない。個人的には、アイザック・B・シンガーの童話でもよく描かれる、おバカが集まるヘルム村の民話が好き。2017/03/05
