内容説明
「近代合理主義の元祖」とされてきたロビンソン・クルーソーは、じつは非合理な欲求に駆られて過剰な砦を構築、〈他者〉を徹底的に閉め出して島を「私の植民地」と化した。それは資本制・大量消費社会に生きる〈病的現代人〉そのものの姿ではないか―原作テクストを厳密・詳細に解析し、従来のロビンソン像を根底から読みかえる渾身の長編評論。
目次
第1章 奇妙な発端―家出・船出の場面を読む
第2章 振動する自我
第3章 難波船からの搬出と食人妄想
第4章 ロビンソンの砦
第5章 イロニーを超えて―カフカが世界にあけた〈穴〉